STEMCELL Technologies STEMdiff STEMdiff Cerebral Organoid Kit
- 研究用
ヒトES/iPS細胞(多能性幹細胞)から大脳オルガノイドを、4段階の簡単なプロトコールで作製可能な無血清培地です。
大脳オルガノイドとは、発達中のヒトの大脳のような細胞組成および構造を有する3次元in vitroモデルです。STEMdiff Cerebral Organoid Kitは、Dr. Lancasterらが発表した論文を基に、さらにオルガノイドの形成効率と再現性を高めるように最適化されています。大脳オルガノイド形成ステップは、中間胚様体(EB)形成に続いて、神経上皮を増殖させます。STEMdiff Cerebral Organoid Kitで成熟した大脳オルガノイドは、脳室帯(ventricular zone;PAX6+ / SOX2+ / Ki-67+)、外室脳室下帯(outer subventricular zone;Ki-67+ / p- Vimentin+)、中間層(intermediate zone;TBR2+)、および皮質板(cortical plate;CTIP2+ / MAP2+ / TBR1+)を形成します。
製品の特長
コンポーネント
- STEMdiff Cerebral Organoid Basal Medium 1, 100 mL
- STEMdiff Cerebral Organoid Basal Medium 2, 250 mL
- STEMdiff Cerebral Organoid Supplement A, 10 mL
- STEMdiff Cerebral Organoid Supplement B, 0.5 mL
- STEMdiff Cerebral Organoid Supplement C, 0.25 mL
- STEMdiff Cerebral Organoid Supplement D, 0.5 mL
- STEMdiff Cerebral Organoid Supplement E, 4.5 mL
STEMdiff Cerebral Organoid Kitのワークフロー

STEMdiff Cerebral Organoid Kitは、ヒト多能性幹細胞(hPSC)から大脳オルガノイドを、4段階の簡単なプロトコールで作製します。
STEMdiff Cerebral Organoid Kitは、胚葉体(EB)の形成から大脳オルガノイドの成熟までをサポートする、all-in-oneのキットとして提供されます。
特長
- ヒト化モデル:hPSCに基づくモデルにより、動物モデルでは不可能な発達および疾患モデル研究を実現
- 脳の発達を再現:3次元 in vitro 培養系により、脳の発達過程、細胞組成および構造的組織を再現
- 最適化:大脳オルガノイド形成効率を高めるために最適化された無血清培地
- ないロット間差:徹底的な原料のスクリーニングと、広範な品質管理試験で再現性を保証
- 簡便性:シンプルなフォーマットと簡便なプロトコール
- コンプリートキット:培地を調製する時間を削減
分野
疾患モデル、神経科学、幹細胞研究
データ紹介
様々なヒト多能性幹細胞株で大脳オルガノイドを形成

STEMdiff Cerebral Organoid Kitは、ヒト多能性幹細胞株の種類を選びません。
(A):大脳オルガノイドへの誘導から増殖段階における位相差顕微鏡像。スケールバー:300 μm。
(B)-(D):培養40日後の大脳オルガノイドに対し、神経細胞関連マーカーで標識。例えば、神経前駆細胞マーカーであるPAX6+、SOX2+細胞は、どの細胞株由来のオルガノイドでも脳室帯(ventricular zone)に局在しています。スケールバー:200 μm。
ヒト大脳オルガノイドの位相差画像および細胞局在
(A)STEMdiff Cerebral Organoid Kitで40日間培養後に形成された、ヒト大脳オルガノイド全体の位相差画像例。この段階での大脳オルガノイドは、層状構造の薄くて半透明な領域(△印)に囲まれた暗位相構造になっている。
(B)大脳オルガノイドの凍結切片に対し、未分化型神経前駆細胞マーカー(PAX6;赤色)およびニューロンマーカー(β-チューブリンIII;緑色)で大脳オルガノイド内の皮質領域を免疫組織学的に標識。
(C - F)(B)の点線領域を拡大。
(C)PAX6+未分化型神経前駆細胞(点線で囲まれた赤色の部分)は、脳室帯(ventricular zone)に局在し、β-チューブリンIII+ニューロン(緑色)は、脳室帯に隣接している。
(D)大脳皮質の発生期に形成される皮質板(cortical plate)マーカーであるCTIP2は、β-チューブリンIII +ニューロンと共局在する。ヒト脳の発達段階で観察される、早期皮質形成を再現している。
(E)細胞分裂マーカーKi-67+増殖前駆細胞(緑色)は脳室帯に沿って局在している。対比染色として核(DAPI;青色)を染色。
(F)霊長類の大脳皮質形成に特に重要な役割を果たすとされる、外室脳室下帯(outer subventricular zone;OSVZ)にもKi-67+細胞の集団が認められる(△印)。
スケールバー:(A)1mm、(B)500μm、(C-F)200μm。
hPSCおよび大脳オルガノイドのトランスクリプトームの主成分分析
STEMdiff Cerebral Organoid Kit(●印)で形成された脳オルガノイド、および先行論文(C Luo et al, Cell Rep, 2016)で紹介された脳オルガノイド(〇印)を示す。第1主成分は分散の大半(PC1; 80%)を占めることから、hPSC(●または○印)と大脳オルガノイドを区別できる。第2主成分の変動はわずか9%で、培養したオルガノイドと初代胎児脳検体(妊娠19週、○印)との間に中程度の発現の違いがあることを示す。
大脳オルガノイドにおける遺伝子発現のヒートマップ解析

培養40日目の大脳オルガノイドにおけるシナプス伝達機能および神経新生に関連する遺伝子発現のヒートマップ解析。STEMdiff Cerebral Organoid Kitで形成された大脳オルガノイドの遺伝子発現は、先行論文(C Luo et al. Cell Rep, 2016)と類似した結果を示す。
関連リンク
ヒト大脳オルガノイドの培養で確認すべきポイント「STEMdiff Cerebral Organoid」
iPS細胞を用いた大脳オルガノイドの解析にベリタス取扱製品を使用 研究者の声【11】
幹細胞におけるCRISPR-Cas9ゲノム編集および、脳オルガノイドの形成
腸管・大脳・肝臓・膵臓・肺・腎臓オルガノイド研究用培地(STEMCELL Technologies社)
「mTeSR Plus」新発売:培地交換週2回で高品質なES/iPS細胞を!
「mTeSR1」フィーダー細胞が不要なヒトES/iPS細胞維持用 無血清培地 ヒトES/iPS細胞からの分化 研究用培地(STEMCELL Technologies社)
ヒトES/iPS細胞における品質管理の考え方:細胞品質管理のタイミング
神経研究に役立つ情報、すべてまとめました!(STEMCELL Technologies社)
技術資料
アプリケーションノート
資料動画
製品関連文献
よくある質問
- STEMdiff Neuralはガラス底で使用できますか?
-
本製品のガラス底96ウェルプレートでの使用につきまして、STEMCELL Technologies社では評価しておりませんが、poly-L-ornithine (for neurons) およびMatrigel hESC-qualified Matrix (for astrocytes)でプレートをコーティングできれば、お試しいただけると考えております。
ガラス面への細胞接着が上手くいくかどうかは、ガラスの種類、ラミニンの濃度、poly-L-ornithineを希釈するバッファーなど、いくつかの因子に依存します。
STEMCELL Technologies社のプロトコールを元に、ガラスに最適な条件をまずはご検討ください。開く閉じる - STEMdiff APEL2 MediumでヒトiPS細胞から血球分化する際に、PFHMの添加が必要ですか?
-
ヒトiPS細胞からの血球分化の際には5% PFHM (Gibco® PFHM-II, Thermo Fisher Catalog #12040077)の添加が必要な可能性が高いです。
ただし、予め条件検討をお願いいたします。
添加する場合は5 mLのPFHMを100 mLのAPEL2に加えてください。
※ ヒトiPS細胞から造血前駆細胞へ分化させる培地「STEMdiff Hematopoietic Progenitor」(製品コード:ST-05310)もございますのであわせてご検討ください。開く閉じる