STEMCELL Technologies STEMdiff STEMdiff Microglia Differentiation Kit
- 研究用
STEMdiff Microglia Differentiation Kit(ST-100-0019、本品)とSTEMdiff Microglia Maturation Kit(ST-100-0020)で構成される「STEMdiff Microglia培養系」を用いることで、STEMdiff™ Hematopoietic Kit(ST-05310)によってヒト多能性幹細胞(hPSC)から分化させた造血前駆細胞(HPC)を、ミクログリアへ分化および成熟させることができます。
Mathew Blurton-Jonesの研究室のプロトコル(Abud et al., 2017)に基づき開発されており、純度の高いミクログリア(> 80% CD45 / CD11b陽性、> 50% TREM2陽性ミクログリア; < 20% 形態学的に異なる単球またはマクロファージ)を得ることができます。
これらの細胞は、神経炎症のモデル化、ヒトの神経学的発達と疾患の研究、共培養アプリケーション、および毒性試験のための多目的な研究ツールとなります。
製品の特長
*本品は、造血前駆細胞(HPC)からミクログリア前駆細胞への分化用培地です。ミクログリアへ成熟させるにはSTEMdiff Microglia Maturation Kit(ST-100-0020)が必要になります。
STEMdiff™ Microglia培養系をもちいて、hPSC由来ミクログリアの分化と成熟を行うことができます
- HPCの90%以上をミクログリアに分化できます
- STEMdiff™ Hematopoietic Kitで作製したHPCからの分化に適しており、神経オルガノイドと共培養することもできます
- マクロファージや単球の混入を抑えてミクログリアに分化できます
- 食作用と活性化を示すミクログリアを取得できます
- 簡易で使用しやすいフォーマットです
ミクログリア分化の流れ
ミクログリア前駆体は、hPSC由来の造血前駆細胞から24日で作製できます。 造血前駆細胞の作製については、STEMdiff™ Hematopoietic Kit(ST-05310)をご参照ください。ミクログリア前駆体から機能性ミクログリアへの成熟については、製品添付文書をご確認ください。
データ紹介
ミクログリアの分化と成熟時の遺伝子発現パターンは、公開されているプロトコルのものと類似しています
RNA-seqデータセットは、hPSC由来のミクログリアから作製し、その転写プロファイルを他の免疫細胞系(N = 500遺伝子)と比較した4つの異なる公開データ(プロトコルA〜D)から抽出されたものと比較しました。主成分分析(PCA)は、STEMdiff™ Microglia 培養系で作製したミクログリアからのRNA-seqデータと共に解析されました。STEMdiff™ Microglia 培養系のhPSC由来ミクログリアは、プロトコルAおよびBのミクログリアに最も近いことが示されます。
34日目に貪食作用を示すミクログリアを生成します
濃度250 μg/mLのpH感受性バイオインジケーター粒子(小さな点)を取り込むミクログリアを、生細胞イメージングで12時間にわたって測定しました。粒子が貪食されると、細胞が赤に変わります。時間が経つにつれて、小さな点の数が減少し、赤い細胞の数が増加して凝集しました。Scale bar = 100 μm.
ミクログリアは10日後に脳オルガノイドに組み込まれ、損傷により活性化された形態を示します
(A)ミクログリアをIBA1(緑)、ニューロンをMAP2(マゼンタ)で染色した、10日後の代表的なミクログリアと脳オルガノイドの共培養。ミクログリアはニューロンの間で統合され、伸展した突起を伴う非活性化形態を示しています(矢印)。(B)損傷時のミクログリアは、IBA1染色で示されるように活性化されたアメーバ形態となります。