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注目の製品情報

2022/11/28

コントロールに最適な凍結ヒトiPS細胞株

  • 用途別細胞培養
  • 細胞・生体試料

iPS細胞(iPSC)の品質は分化効率に大きく影響します。

適切な分化誘導を実現するために、まずは高品質なiPSCを準備しましょう!

ヒト多能性幹細胞の維持・分化用培地を多数開発してきたSTEMCELL Technologies社では、研究用の高品質なヒトiPS細胞(Control iPSC)の供給を開始しました(Healthy Control Human iPSC Line、ST-200-0511)。コントロールに最適で、厳密な品質管理および特徴付けられているだけでなく、創薬など商業利用目的の使用も認められている汎用性の高い凍結細胞株です。さらに、STEMCELL Technologies社の維持・分化用培地に適応するため、さまざまなアプリケーションへの可能性が広がります。

同細胞株の使い切りタイプの製品 (iPSCdirect™ Healthy Control Human iPSC Line、ST-200-0510) は、分化やスクリーニング向けのより手軽な選択肢となります。

注意:この製品は「研究用」です。記載がない限り、ヒトまたは動物の診断または治療目的での使用を意図したものではありません。

Control iPSCとは

Healthy Control Human iPSC Line の特長

  • IRBプロトコルに基づいて収集し倫理的に調達されているため、学術または商業目的の規制要件を満たします
  • 製造工程すべての段階で業界標準以上の広範な品質管理が実施された、信頼性の高い細胞株です (ISCBI、2009)
  • hPSCreg®による検証済みの細胞株(SCTi003-A細胞株)で、研究の透明性と倫理的および生物学的適合性が高まります
  • STEMCELL Techonologies社の維持用培地「TeSR™」シリーズや分化用培地「STEMdiff™」シリーズに順応します

 

Healthy Control Human iPSC Line のアプリケーション例

  • 研究に初めて導入するiPSC株として
  • 創薬、機器・ソフトウェア開発など、商業用途の細胞として
  • 分化効率の課題への対処
  • 細胞品質など培養上の課題への対処
  • 多能性幹細胞ワークフローに多様性を加え、治療薬成功率の向上や副作用リスクの低減に寄与
  • mTeSR™ PlusやSTEMdiff™を用いた既存のワークフローへの統合

注意:この製品は「研究用」です。別段の記載がない限り、ヒトまたは動物の診断または治療目的での使用を意図したものではありません。

 

Healthy Control Human iPSC Line の仕様

形態・容量

  • 未分化のヒトiPS細胞凝集体を含むバイアルです
  • 細胞はCryoStor® CS10培地中に凍結保存されています
  • 1バイアルあたり約15,000個のiPS細胞凝集体を含みます
  • 解凍直後に回収できるiPS細胞は約106個です

細胞のドナー由来

健康な48歳女性ドナーの末梢血単核細胞 (PBMC) に由来します。ドナーの人口統計学的、健康、および遺伝的な特徴は、自己申告と全エクソーム配列データに基づいて下表のようにまとめられています。

Age 48
Sex Female
Diagnosis Clinically unaffected at donation
Ethnicity and/or Race White
Ancestry 0% African   0% East Asia
78.2% European   21.8% South Asian
Height 168 cm
Weight 62.1 kg
BMI 22.1 kg/m2
Blood Type B-
HLA Type

HLA Class I
A*24:02:01G, 26:01:01G
B*07:02:01G, -
C*07:02:01G, -

HLA Class II
DRB1*15:01:01G, -
DRB3*-, -
DRB4*-, -
DRB5*01:01:01G, -
DQB1*06:02:01G, -
DPB1*02:01:02G, 04:01:01G
ClinVar Analysis Five pathogenic or likely pathogenic variants in the following genes:
AGXT, KLKB1, NQO1, RUNX1, and SLC12A3
Tobacco Use Non-smoker

1: Self-declared, 2: Calculated

製造・品質管理

  • 最適な性能と再現性を確保するために、製造工程でさまざま広範なQCを実施しています
  • 核型安定、3胚葉への分化能を示し、未分化マーカーを発現(OCT4+, TRA-1-60+ ≥ 80%)します
  • 非組み込み型技術によってリプログラミングされています
  • αβT細胞に由来し、VDJ再構成を受けています

性能

  • mTeSR™ Plusで製造されているため、高品質な維持培養が可能です
  • 分化用のSTEMdiff™培地*と完全に適応し、心筋細胞、ニューロン、アストロサイト、ミクログリアなどの系統特異的な細胞型やオルガノイドなど多様な細胞への分化できます
  • 多能性幹細胞研究の多くのアプリケーションにおいて、健常コントロールとして使用できます

* SCTi003-Aは以下のSTEMdiff™キットに利用可能なことを確認済です

Control iPSCの特徴

Healthy Control Human iPSC Line, Female, SCTi003-Aの特徴を示すデータを紹介します。

維持培養時に観察されるSCTi003-A細胞の形態

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凍結保存したSCTi003-A細胞を解凍し、Corning® Matrigel® MatrixをコートしたmTeSR™ Plus - cGMPで維持培養しました。
(A)iPSCコロニーには細胞が密に詰まっており、継代の準備が整うと多層化を示します。(B, C)細胞は顕著な核小体と高い核対細胞質比を保持しています。

 

正常な核型を維持

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(A)解凍したSCTi003-A細胞に対するp26でのGTLバンディング(n = 20)は、ハプロイドゲノムあたり450 - 550 Gバンドの解像度で、クローン性異常の証拠がない正常な核型を示します。
(B)20p11 (緑)および20q11.21(赤)のプローブを使用した、p26のiPSCにおける蛍光in situハイブリダイゼーションの例。調べた細胞の94%で2個のプローブシグナルが2セット見られ、20番染色体の異数染色体がないことを示しました (n = 200)。

 

コピー数バリアント(CNV)の特定

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マスターセルバンクに保管したSCTi003-A細胞のバイアルからDNAを抽出し、SNPマイクロアレイ解析からCNVを特定しました。 7番および14番染色体上に、それぞれ400 kbを超えるCNVの存在を示しました(太字表示)。これらの欠失はゲノムのTCR領域に位置し、T細胞発生中のVDJ遺伝子再構成プロセスを示しています。

chr = chromosome; start cyto = cytogenetic band at the start of the base pair imbalance; end cyto = cytogenetic band at the end of the base pair imbalance; bp = base pairs; SNP = single nucleotide polymorphism; TCR = T Cell Receptor; VDJ = variable, diversity, joining segment

 

未分化細胞マーカーの発現

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SCTi003-A細胞を、未分化細胞マーカーOCT3/4およびTRA-1-60に対するフローサイトメトリーで分析しました。
(A)マーカーの発現頻度。マスターセルバンクからの解凍後5継代で、3回の反復実験を解析して定量化しました。
(B)TRA-1-60および(C)OCT3/4のフローサイトメトリーのプロット例です。

 

3胚葉への高い分化能

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SCTi003-Aの細胞を3グループに分け、STEMdiff™ Trilineage Differentiation Kit (ST-05230) で各胚葉に分化させ、フローサイトメトリーで分析しました。各胚葉の2つのマーカー発現について、各グループの平均を棒グラフで示しています(n = 2)。
PAX6とNestinは外胚葉系統、NCAMとBrachyury (T) は中胚葉系統、CXCR4とSOX17は内胚葉系統への分化をそれぞれ確認するマーカーです。

 

Control iPSCから各種細胞への分化

Healthy Control Human iPSC Line, Female, SCTi003-Aからさまざまな細胞型へ分化したデータを紹介します。

造血前駆細胞への分化とコロニー形成能

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STEMdiff™ Hematopoietic Kit(ST-05310) でSCTi003-A細胞から造血前駆細胞(HPC)を作製しました。
(A)分化後のCD34+CD45+ HPCの頻度とcm2あたりの収量(n = 2)。 (B)SCTi003-A細胞由来のHPCの明視野画像から、これらの細胞が典型的な内皮-造血転換(EHT)を経て移行したことを示しています。
次に、得られたHPCを用いてMethoCult™ SF H4636によるコロニー形成単位(CFU)アッセイ (n = 2) を行いました。(C)14日間のインキュベーション後、コロニーを STEMvision™で画像化し、(D)デジタル画像から算定しました。骨髄系(黒)と赤血球系 (赤)の両方のコロニーが形成されました。

 

ミクログリアへの分化

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STEMdiff™ Hematopoietic Kit(ST-05310)でSCTi003-A細胞から分化させた造血前駆細胞を、さらにSTEMdiff™ Microglia Differentiation and Maturation Kits(ST-100-0019、ST-100-0020)でミクログリアに分化させました。
(A)得られた細胞は小さく、突起を確認でき、Matrigel®に接着せず、ミクログリアに特徴的な小さな細胞質対核比を示します。
(B)フローサイトメトリーでCD45とCD11bの共発現が観察されました。 (C)得られた細胞はポリ-D-リジンに接着し、27日目のMay-Grunwald Giemsa染色での評価によると単球様細胞(細胞質が薄く染まる大きな細胞; 矢印)を< 20%含みます。

 

神経前駆細胞への分化

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STEMdiff™ SMADi Neural Induction Kit(ST-08581)でSCTi003-A細胞から単層プロトコルに従って神経前駆細胞(NPC)に分化し、その後凍結保存しました。得られたNPCは解凍後に培養し、免疫細胞化学染色用に固定しました。
NPCは神経前駆細胞マーカー (A)PAX6および(B)SOX1を発現し、(C)クラスIIIβ-チューブリン(TUJ1)を弱く発現します。加えて(D)想定される小さな涙形の形態を示します。
(E)マーカー発現を定量化すると、神経前駆細胞マーカーが90%以上、成熟神経細胞マーカーは10%未満でした。エラーバーは標準偏差を表します(n = 2)。

 

心室心筋細胞への分化

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STEMdiff™ Ventricular Cardiomyocyte Differentiation Kit(ST-05010)でSCTi003-Aから心室心筋細胞を作製しました。
(A)分化15日目の単層培養には、拍動するiPSC由来心室心筋細胞が見られます。
(B)拍動する心室心筋細胞は、機能解析のために微小電極アレイ(MEA)プレートのウェルに再播種し維持できます。
(C)得られた細胞の89%に心筋細胞マーカーであるトロポニンT(cTnT)の発現がフローサイトメトリーで検出されました。
(D)分化22日目のiPSC由来心室心筋細胞は ~25 BPM(n = 3、平均 +/- SD) で拍動し、(E) MEAで評価される電界電位持続時間は ~500 ms (n = 3、平均+/- SD)でした。

 

Control iPSCからオルガノイドへの分化

Healthy Control Human iPSC Line, Female, SCTi003-Aからオルガノイドへ分化したデータを紹介します。

神経オルガノイドへの分化

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STEMdiff™ Dorsal Forebrain Organoid Differentiation Kit(ST-08620)でSCTi003-A細胞から神経オルガノイドに分化させました。背側前脳オルガノイドはSTEMdiff™ Neural Organoid Maintenance Kit(ST-100-0120)で105 日間維持した後に固定し、凍結切片を作製し、免疫蛍光染色しました。
オルガノイドの(A)DAPI(青)、(B)MAP2(マゼンタ)、(C)NEUN(黄色)、(D)GFAP(シアン)の染色画像と(E)4チャンネル合成画像。パネルは63x倍率で細胞レベルの詳細を示し、挿入図は10x倍率で凍結切片全体を示しています。

 

腸オルガノイドへの分化

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(A)STEMdiff™ Intestinal Organoid Kit (ST-05140) で培養するためにSCTi003-A細胞を播種しました。
(B)製品情報シート記載のプロトコル3日目までに単層は均一さを増し、胚体内胚葉パターン化の特性を示します。
(C)中/後腸培地に切り替えた後、単層培養上に3D構造が見え始めます。
(D)分化7日目に中/後腸培養からスフェロイドが分離します。
(E)集めたスフェロイドは、Matrigel®ドームに埋め込んでヒト腸オルガノイドに成熟させることができます。
(F)スフェロイドはマトリックス内でわずか6日で大幅に増殖します。成熟オルガノイドは、STEMdiff™ Intestinal Organoid Growth Medium(ST-05145)で継代および増殖できます。

 

iPSCdirect™とは

iPSCdirect Healthy Control Human iPSC Line の特長

使い切りタイプのiPSCコントロール株「iPSCdirect™」をご紹介します。本品を使用すれば、iPSC研究用セルバンクの開発や特性解析にかかるコストと労力を減らして長期培養を回避でき、研究のスピードアップに役立ちます。

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  • iPSCコントロール株 (SCTi003-A) から特別に凍結保存されています
  • シングルセル仕様で、使い捨てタイプの製品です
  • 1バイアルあたり、1 x 107個の未分化iPSCを含みます
  • SCTi003-Aと同様、業界標準以上の広範な品質管理を受けています *
  • mTeSR™ Plus で製造、DMSO含有培地で凍結されています
  • 播種後24時間でスクリーニングや分化に使用でき、iPSC単層培養の維持は不要です
  • 使い捨て使用時、ライセンスは不要です **

* 品質に関するデータは、製品情報ページを参照

** 未分化状態 (ゲノム編集後を含む) の細胞を維持または増殖するには、ユーザーはiPSCの標準ライセンス契約を締結する必要があり、年間ライセンス料が適用される場合があります。

注意:この製品は「研究用」です。別段の記載がない限り、ヒトまたは動物の診断または治療目的での使用を意図したものではありません。

単層培養での分化プロトコールに最適化されています

iPSCdirectは以下のSTEMdiffキットで分化できることを確認済です。その他の単層ベースの分化との適合性についてはお問い合わせください。

神経前駆細胞 (NPC) への分化

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iPSCdirect™ SCTi003-A 細胞からNPCを作製しました。iPSCdirect™ 製品情報シートのプロトコールに続き、STEMdiff™ SMADi Neural Induction Kit (ST-08581) の単層プロトコール (Day 1~) を実施しました。プロトコールの最初の7日間後、得られた NPC を固定し免疫細胞化学で解析しました。
NPC は神経前駆マーカー (A) SOX1 および (B) PAX6 を発現し、核は (C) DAPI で可視化しました。 (D) マーカー発現を定量化し、ネガティブコントロール SOX10 の発現は最小限でした。エラーバーは標準偏差を表します (n = 2 生物学的複製)。

心室性心筋細胞への分化

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iPSCdirect™ SCTi003-A 細胞から心室心筋細胞を作製しました。
(A) 解凍して mTeSR™ Plus および CloneR™2 にプレーティングしてから48時間後、iPSCdirect™ 細胞は望ましいコンフルエントに達し、分化の準備が整いました (分化0日目)。
(B) STEMdiff™ Ventricular Cardiomyocyte Differentiation Kit (ST-05010) による分化15日目までに、単層培養物は (C) 協調して拍動する iPSC 由来の心室心筋細胞になります。

肝細胞様細胞への分化

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iPSCdirect™ SCTi003-A 細胞から肝細胞様細胞を作製しました。
(A) STEMdiff™ Hepatocyte Kit (ST-100-0520) による分化21日目までに、特徴的な多角形形態と二核を有する肝細胞様細胞の単層が明らかになります。
(B) 肝臓マーカーであるアルブミン (ALB) およびアルファ1-アンチトリプシン (A1AT) の発現をフローサイトメトリーで定量しました。 エラーバーは標準偏差を表します (n = 3 生物学的複製)。

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