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2019/07/09

ヒトES/iPS細胞の核型異常の検出_hPSC Genetic Analysis Kit

  • 用途別細胞培養

ES細胞(embryonic stem cell)iPS細胞 (induced pluripotent stem cell)などヒトの多能性幹細胞(hPSC)では、培養が長期におよぶと核型異常が発生します(1-3)。こういった核型の異常は幹細胞の動向に変化を与える可能性があり、疾患モデルの検証、薬物スクリーニング、または細胞医療に問題を与えます。hPSC Genetic Analysis Kit には、hPSC培養において報告されている最もよくみられる核型異常の7割以上を検出するために必要なコンポーネントがすべて含まれています。qPCRをベースとするこのキットは、ダブルクエンチャープローブを使用することにより、よくみられる変異遺伝子座の重要領域におけるコピー数を高い特異性と感度で検出します。このキットは、この分野で満たされていないニーズに応えることを目的としてデザインされており、研究者の方たちが幹細胞培養の質を確認し自身のデータを信頼するための助けとなります。

hPSC Genetic Analysis Kitについて

hPSC Genetic Analysis Kitでできること

hPSC1.png

Figure 1. hPSC Genetic Analysis Kit による12番染色体トリソミーの検出

ヒトiPS細胞株(WLS-1C)における12番染色体のトリソミーは、(A) hPSC Genetic Analysis Kitにより検出され(オレンジの棒グラフ:p < 0.05)、(B)G分染法にて確認。

hPSC2.png

Figure 2. hPSC Genetic Analysis Kitは不均衡転座によって生じた1番染色体の重複を検出。

1番染色体の長(q)鎖のextra copyが21番染色体の短(p)鎖に転座しているヒトiPS細胞株(WLS-1C)において、1番染色体の不均衡な再編成を(A) hPSC Genetic Analysis Kit を使って検出し(オレンジの棒グラフ:p < 0.05)、(B)G分染法によって確認。

hPSC3.png

Figure 3. hPSC Genetic Analysis Kit による染色体20q11.21の 重複の検出

1ヒトiPS細胞(WLS-4D)の染色体20qにおける重複は(A) hPSC Genetic Analysis Kitにて検出され (オレンジの棒グラフ: p < 0.05)、(B)G分染法では検出されず。

(C)in situハイブリダイゼーション(20p11 () 20q11.21 ()に対するプローブを使用)によって重複があることを確認。

hPSC4.png

Figure 4. hPSC Genetic Analysis Kitを使って遺伝的異常の経時的モニタリング

遺伝的に正常なヒトiPS細胞(STiPS-F019)を31回継代し、17回目の継代(p17)から46回の継代ごとにゲノムの安定性を評価。

p17での解析結果では染色体20q11.21は正常な二倍体のコピー数を示していたが、p21でが染色体20q11.2の有意な増幅が見られ(オレンジの棒グラフ:p < 0.05)、これはp27p31でも確認。

hPSC5.png

Figure 5. hPSC Genetic Analysis Kit の検出感度

遺伝的に正常なヒトiPS細胞(WLS-1C (A - B)WLS-4D1 (C))と、記載された比率の(A)染色体12番のトリソミー、(B)染色体10pの欠損、または(C)染色体20qの重複をもつiPS細胞を混合。

遺伝的異常をもつ細胞が約30%含まれる場合に、コントロールに比較して有意に異なるコピー数が検出されました(コントロールはモザイク0%の培養;変異を含む培養はオレンジの棒グラフ:p < 0.05)

よくある質問

hPSC Genetic Analysis Kitを使って見つかりにくいの再発性核型異常は検出できますか?

染色体20q11.21の増幅は見つかりにくいの核型異常のため、従来の染色体解析(G分染法)ではしばしば検出されないことがあります。染色体20q11.21の重複により、BCL-XLを含むいくつかの遺伝子のコピー数が増加し、正常なhPSCに比べて強力な選択的増殖優位性を示すようになります(4, 5)。

自分の培養している多能性幹細胞の品質管理に使用したいのですが、どのような頻度で確認したらよいですか?

繰り返し異常が生じることにより、細胞増殖や生存の亢進、または自発的分化を通じて培養しているhPSCに選択的優位性が生じることがあり得ます。そのため、遺伝的異常を有している細胞は培養中、遺伝的に安定な細胞の染色体コピー数を迅速に上回る可能性(Figure 4)、研究の結論にも影響を与える可能性があり(6)、それらを検出するために頻繁にhPSCのゲノム安定性をモニタリングする必要性があります。ただし、ガイドライン等でゲノム確認の頻度が明示されてはいません。iPS細胞樹立後、ゲノム編集の前後や分化誘導前後は行う方が良いと考えられており、また一か月に一度は必要では?と考える研究者も多いようです。

なぜ、hPSC Genetic Analysis Kitを使用がよいのですか

絞られたターゲットhPSCの培養で観察されている核型異常の大部分を検出するためにデザインされています。

迅速性培養している細胞から一日以内で結果が得られます。

優れた費用対効果サンプル当たりにかかる費用が従来法に比べて安価であり、多くのサンプルをより頻繁にスクリーニングすることが可能になります。

利便性:最新式のデータ解析とデータ解釈のためのオンラインのhPSC遺伝子解析ツールがあります。

参考文献

  1. Andrews PW et al. (2017) Assessing the safety of human pluripotent stem cells and their derivatives for clinical applications. Stem Cell Reports 9(1): 1-4.
  2. Baker D et al. (2016) Detecting genetic mosaicism in cultures of human pluripotent stem cells. Stem Cell Reports 7(5): 998-1012.
  3. International Stem Cell Initiative et al. (2011) Screening ethnically diverse human embryonic stem cells identifies a chromosome 20 minimal amplicon conferring growth advantage. Nat Biotechnol 29(12): 1132-44.
  4. Avery S et al. (2013) BCL-XL mediates the strong selective advantage of a 20q11.21 amplification commonly found in human embryonic stem cell cultures. Stem Cell Rep 1(5): 379-86.
  5. Nguyen HT et al. (2014) Gain of 20q11.21 in human embryonic stem cells improves cell survival by increased expression of Bcl-xL. Mol Human Reprod 20: 169-177.
  6. Andrews PW (2006) The selfish stem cell. Nat Biotechnol 24: 325-26.

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