STEMCELL Technologies ReLeSR ReLeSR
- 研究用
ReLeSR™は、手作業による選択やスクレイピングを行わずに、ヒト多能性幹細胞(hPSC)を細胞塊として解離および継代するための酵素フリーの試薬です。ReLeSR™でhPSCを継代すると、手動操作による煩わしさやばらつきを排除しながら、最適なサイズの細胞塊を簡単に生成できます。スクレイピングの必要性を排除することで、培養フラスコおよび他の密閉容器の使用を可能にし、培養のスケールアップや自動化を容易にします。
製品の特長
- Chemically-defined、酵素フリーの組成
- 未分化コロニーを選択的に剥離
- ピペット操作なしに、最適サイズ(50-200 µm)の細胞塊を生成可能
- フラスコ・大容量培養容器にも使用可能
- 継代後のヒトES/iPS細胞に対し、高い増殖効率
mTeSR1、TeSR-E8の各培地、およびVitronectin XF(ST-07190)、Corning Matrigel の各マトリックスにて評価済みです。
また、TeSR-E7でリプログラミングしたヒトiPS細胞の剥離にも使用いただけます。
ReLeSRはコロニー継代用に最適化されており、シングルセル継代には推奨しておりません。
シングルセル継代にはGentle Cell Dissociation Reagent(ST-07174)をご使用ください。
プロトコール概要
ReleSRによる剥離プロトコールは、一般的なプロトコールに比べて操作時間を最大40分短縮します。
※ 6ウェルプレートあたり
データ紹介
ヒトES/iPS細胞の未分化コロニーを選択的に剥離
(A)ReLeSRで処理前のヒトiPS細胞
(B)ReLeSRで処理すると、未分化コロニー(白い部分)のみ剥離開始
(C)プレートによる振とう後、未分化コロニーのみ完全に剥離
(D)上清に回収されたコロニーは、そのまま継代可能
未分化率の低いヒトES/iPS細胞培養系の回復も可能
(A)未分化率が50%未満になったヒトES/iPS細胞の培養系例
(B)(A)の培養系に対しReLeSR処理と継代培養を行った結果、未分化率が90%以上に回復
未分化のES/iPS細胞コロニーを選択剥離しない系との比較
灰色:Gentle Cell Dissociation Reagent(製品コード:ST-07174、以下GCDRと表記)で未分化のヒトES/iPS細胞を選択せずに継代した結果、未分化率が低下
橙色:ReleSRで未分化のヒトES/iPS細胞を選択して継代した結果、未分化率が回復
技術資料
製品関連文献
- Bell S et al. 2018. Disruption of GRIN2B Impairs Differentiation in Human Neurons. Stem Cell Reports. 11(1):183-196.
- Wu X et al. 2018. Intrinsic Immunity Shapes Viral Resistance of Stem Cells. Cell. 172(3):423-438.e25.
- Bershteyn M et al. 2017. Human iPSC-Derived Cerebral Organoids Model Cellular Features of Lissencephaly and Reveal Prolonged Mitosis of Outer Radial Glia. Cell Stem Cell. 20(4):435-449.e4.
- Orellana DI et al. 2016. Coenzyme A corrects pathological defects in human neurons of PANK2-associated neurodegeneration. EMBO Mol Med. 8(10):1197-1211.
- Lorzadeh A et al. 2016. Nucleosome Density ChIP-Seq Identifies Distinct Chromatin Modification Signatures Associated with MNase Accessibility. Cell Rep. 17(8):2112-2124.
よくある質問
- ReLeSRで調製したES/iPS細胞塊から、シングルセルにして凍結保存するにはどうすればよいですか?
-
シングルセルで凍結保存する際に最も簡単なのは、細胞の剥離にReLeSRではなくGentle Cell Dissociation Reagent (ST-07174)を使用することです。しかし、ReLeSRで未分化細胞を選択的に剥離してから凍結保存したい場合、以下のプロトコールをご紹介します(お考えのアプリケーションに適しているかどうか、必ずご確認ください)。 ReLeSR製品添付書のプロトコール、ステップ8まで行います。細胞塊を遠心で落とします。ペレットをGentle Cell Dissociation Reagent (ST-07174)に再懸濁します (6 well plateの場合、1 mL/well)。インキュベーターに10分置き、シングルセルにします。遠心して、ペレットを凍結保存液に再懸濁します。
開く閉じる - ReLeSRでES/iPS細胞のコロニーを剥離する際、未分化コロニー中心の近くにある分化細胞も剥がれてしまいますか?
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コロニーが完全に分化していれば接着したままで剥離されません。中心が部分的に分化している場合、未分化細胞とともに分化した細胞が剥がれてしまう可能性が考えられますが、これらは次回の継代時に接着していれば除去できます。しかしながら、全ての分化細胞が、継代によって除去できるかどうかは保証しかねます。
開く閉じる - ReLeSRは、ヒトES/iPS細胞を凍結保存する前の回収に使えますか?その方法は?
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はい、使用できます。
たとえば以下2通りの方法が考えられますが、【1】はSTEMCELL Technolohgies社で良好な結果が得られています。- 【1】
ReLeSR製品添付書にある継代プロトコールのステップ8まで行い、300 x gで5分遠心します。注意深く上清を除き、細胞塊を凍結保存液(例 CryoStor CS10またはmFreSR)に緩やかに再懸濁し凍結用バイアルに移します。 - 【2】
上記プロトコールのステップ6で、mTeSR1やTeSR2の代わりにウェルに凍結保存液を加えます。30-60秒タッピングし、細胞塊を5 mLピペットで1回ピペッティングします。ウェルから凍結用バイアルに移します。
開く閉じる - 【1】