ゲノム完全性　Genomic Integrity

ヒト多能性幹細胞（hPSCs）で同定された反復性遺伝子異常はヒトのがんにおいても観察されるため、これらの異常が起こった細胞を治療用途に使用することは安全性への懸念を引き起こします。 hPSCsにおいて最も染色体異常の影響を受けやすいのは、1, 4, 8, 10, 12, 17, 18, 20およびX染色体との報告があります。 hPSCs培養の遺伝子異常・変異の出現を最小限にするためのステップを取ることが可能ですが、完全に回避することは困難です。また現在の細胞遺伝学的分析方法は、培養物中の低レベルのモザイク現象を検出することができません。

hPSC細胞品質のチェックツール

STEMCELL Technologies社のhPSC Generic Analysis Kitは、qPCRにより容易にGenomic Integrityを確認することが可能です。

hPSC Genetic Analysis Kit（製品コード：ST-07550）

hPSC Genetic Analysis Kitにはプライマー/プローブのミックスが含まれています。
複数のヒトES/iPS細胞株の遺伝子スクリーニングが可能で、迅速かつ費用対効果の高いqPCR-basedキットです。

多能性 Pluripotency

ヒト多能性幹細胞（hPSCs）は、自己複製能または3種の胚性胚葉（内胚葉、中胚葉および外胚葉）に相当するすべての体細胞型に分化する独特の能力を保持します。hPSCsの多能性を確認する方法は、これまでテラトーマアッセイ（Damjanov & Andrews, 2016）やEB法（Itskovitz-Eldor et al., 2000）が一般的でした。しかし、長時間・高コストのテラトーマアッセイは、結果のばらつきが発生すること（Bouma et al., 2017）、EB法では標準化が困難であるなどの理由から、hPSCs多能性を評価するための代替アプローチが現在使用されています。

多能性の評価ツール

STEMCELL Technologies社のSTEMdiff Trilineage Differentiation Kitは、テラトーマアッセイやEB法で起こる問題を解決します。

STEMdiff Trilineage Differentiation Kit、 製品コード：ST-05230）

STEMdiff Trilineage Differentiation Kitは、既存あるいは新規に樹立したヒトES/iPS細胞株の3胚葉（外胚葉、中胚葉、内胚葉）への分化能を評価するための簡便なアッセイキットです。キットに含まれる完全培地とモノレイヤー培養プロトコールで、1週間以内に再現性良く多能性を評価します。
研究室で維持している細胞株や、新たに樹立した細胞株の品質管理を簡便におこなえます。