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2017/11/16

「NaïveCult」ヒト多能性幹細胞をプライム型からナイーブ型に戻す!

  • 用途別細胞培養

多能性幹細胞(ES/iPS細胞、PSC)は、in vitroでの成長特性、およびすべての体細胞系統・生殖系列キメラを生じさせる可能性に基づいて、未分化なナイーブ型と分化が進んだプライム型に分類されます。
異なる多能性状態(ナイーブ型、プライム型)における幹細胞の特性プロパティに関する研究は、細胞分化機構の解明および他の基礎理論研究にとても重要です。

ナイーブ型PSCとNaiveCultについて

ナイーブ型PSCは着床前(pre-implantation)の状態に近く、プライム型PSCより高い自己複製能および多能性を持つことから、初期胚発生の研究により多くの利点があります。ナイーブ型PSCのシングルセル継代の容易さは、幹細胞の増殖・回復効率を劇的に改善させるだけでなく、遺伝子操作の実現可能性も大いに増やすことができます。従って、ナイーブ型PSCは、遺伝子治療・器官再生などの再生医療および臨床治療に有用な細胞型といわれています。

ナイーブ型とプライム型は体内でそれぞれ異なる胚発生段階に対応するため、2つの型の細胞に基づいてモデルを構築することで、胚発生のシグナル経路と分子メカニズムを解析する事もできます。2つの型の比較と相互交換、発生段階的な疾患モデルは、薬物作用のメカニズム、遺伝子治療および新薬の研究にも強力なツールとなり得ます。

STEMCELL Technologies社の「NaiveCult™ Media System」は、トランスジーンフリー(transgene-free)でプライム型ヒト多能性幹細胞(hPSCs)をナイーブ型にリセットし、ナイーブ型関連遺伝子の高発現を維持するための、誘導(NaïveCult Induction Kit)および増殖(NaïveCult Expansion Medium)培地です。

NaiveCultで得られたナイーブ型hPSCs

  • 安定なnaive-like hPSCsの形態を示します
  • ナイーブ型関連遺伝子を高く発現します
  • 再度プライム型に戻して3胚葉へ分化できます

NaiveCultのアドバンテージ

  • NAÏVE:ナイーブ型関連遺伝子を高く発現するhPSCsを維持します
  • TRANSGENE-FREE:外因性因子フリーでナイーブ状態に復帰できます
  • ROBUST:複数のhPSC株にわたり一貫した機能を発揮します
  • DEFINED:予めスクリーニングした高品質なコンポーネントを含有しています

 

プライム型からナイーブ型hPSCsへの誘導スキーム

naivecult_scheme.jpg

詳しいプロトコールはこちら

NaiveCult System テクニカルマニュアル(英語)

NaiveCult Induction Kit(製品コード: ST-05580)

NaiveCilt Induction Kitは、英国ケンブリッジ大学のCambridge Stem Cell Instituteからのライセンスを受けて開発されました(Guo et al. 2017)。ステップワイズ・トランスジーンフリーなNaïveCult Induction Kitでリセットしたナイーブ型ヒト多能性幹細胞(hPSCs)は、ナイーブ型に特徴的な、均一なドーム状の、屈折エッジを有する明るい位相差像のコロニーを形成します。また、ナイーブ型hPSCsに関連する遺伝子発現プロファイルを維持します。(Takashima et al. 2014; Guo et al. 2016; Guo et al. 2017)。

※ 他にhistone deacetylase inhibitor(HDACi)(Sodium Butyrate(製品コード:ST-72242)またはValproic Acid(Na Salt)(製品コード:ST-72292))が必要になります。

NaiveCult Expansion Medium(製品コード: ST-05590)

NaiveCult Expansion Mediumは、Cambridge Stem Cell InstituteのProf. Austin Smithによって開発された「t2iL + Gö」に基づいた組成です(Takashima et al. 2014; Guo et al. 2016)。STEMCELL Technologies社がライセンスを受け、遺伝子発現プロファイルを維持したまま細胞増殖を促進するよう組成を最適化して発売しました。

※ NaïveCult systemはフィーダー細胞(不活性化したマウス胚線維芽細胞(iMEFs))との共培養系です。CF-1株またはDR4株を推奨します。

 

データ例:NaiveCultで得られたナイーブ型hPSC

安定なnaïve-like hPSCの形態 および ナイーブ型関連遺伝子の高い発現

NaiveCilt_Fig2.jpg

(A) NaiveCultで誘導・19回継代培養したイメージ
(B) NaiveCultで誘導・20回継代培養したWLS-1C iPS細胞の遺伝子高発現プロファイル

再度プライム型に戻して3胚葉への分化が可能

naivecult_fig.3.jpg

(A) STEMdiff Definitive Endoderm Kit(ST-05110)で分化させたヒトWLS-1C iPS細胞のフローサイトメーターの分画です。>90%の割合でCXCR4+/SOX17+胚体内胚葉前駆細胞を示します。
(B) STEMdiff Mesodermal Induction Medium(ST-05220)で分化させたヒトWLS-1C iPS細胞のフローサイトメーターの分画です。>80%の割合でBrachyury+/OCT4-中胚葉前駆細胞を示します。
(C) STEMdiff SMADi Neural Induction Kit (ST-08581)で分化させたヒトWLS-1C iPS細胞神経前駆細胞の免疫染色イメージです(PAX6(緑)、SOX1(赤))。

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NaïveCultは英国・Cambridge Stem Cell Instituteのライセンスを受けて開発されました。

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