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ラーニングコーナー

2018/08/03

Laminin(ラミニン)マトリックス:がん幹細胞の培養に役立つ情報

  • 用途別細胞培養

がん幹細胞(caner stem cell:CSC)は、ラミニン/インテグリンのシグナリング経路により腫瘍細胞の増殖、浸潤および転移を促進します。過去数十年にわたる多くの研究において、ラミニンと結合するインテグリンが腫瘍形成、腫瘍促進および腫瘍抑制活性における役割があることを示してきました。

がん幹細胞とラミニン

ラミニン/インテグリンを介する相互作用は、幹細胞のニッチ(微小環境)を構築する基底膜の主要成分として(Rodin, 2014)、がん幹細胞の制御における中心的役割(Qin, 2016)があるため、がん治療において注目されています(Rabinovitz & Mercurio, 1997; Berg, 2016)。がん幹細胞(CSC: Cancer Stem Cells)は腫瘍細胞のサブセットの代表として、自己複製能および多分化能を表します。CSC亜集団を取り囲む腫瘍微小環境におけるさまざまなラミニンサブユニットの発現は、CSCのニッチとして役立ち、腫瘍の進行に関与することが実証されています(Qin, 2016)。

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ラミニンはがん幹細胞ニッチにおける主役

Laminin-332と細胞浸潤

Laminin-332は腫瘍細胞の予後不良と相関し、細胞浸潤性の分子マーカーとして示されています (Kang, 2013; Rani, 2013)。

Laminin-332はヘミデスモソーム(細胞接着分子)成分およびインテグリンα6β4を介して、基底ケラチノサイトの安定したアンカリングをサポートし、表皮基底膜を支持することが知られています(Ghohestani, 2001; Litjens, 2006; Nishiuchi, 2006)。またLaminin-332は、創傷治癒および悪性黒色腫(メラノーマ)浸潤の重要な要因(motility factor)としても報告されています(Kariya, 2012)。

Laminin-332と前立腺がん細胞

前立腺がん細胞はインテグリンα6β4を介してLaminin-332に結合することで、シグナル伝達経路を活性化し、腫瘍細胞の増殖、浸潤および転移を促進すると示されています(Berg, 2016)。

Laminin-332と肝臓がん細胞

Govaereらは、Laminin-332がヒト肝腫瘍での幹細胞ニッチの一部として幹細胞性を促進し、化学療法に対して肝臓がん細胞を保護することにおいて顕著な役割を確認しました(Govaere, 2015)。

Laminin-521/Laminin-511と乳がん幹細胞

Changらは、乳がん幹細胞を産生したLaminin α-5マトリックス(Laminin-521およびLaminin-511)が、インテグリンα6β1の相互作用およびHippoトランスデューサーTAZ(Hippo transducer TAZ)の活性化を介して、自己複製および腫瘍イニシエーションを促進することを示しました。また、TAZはLaminin α-5の転写を調節し、乳がんの幹細胞性に寄与するポジティブ・フィードバックループを確立します(Chang, 2014)。

Laminin-511と頭頸部扁平上皮がん細胞

Fennewaldらは、頭頸部扁平上皮がん細胞株がβ1インテグリン相互作用を介して、リンパ動態の低せん断応力(lymphodynamic low share stress)下でLaminin-511に結合することを示しました(Fennewald, 2012)。

Laminin-411と卵巣がん細胞

Kaemmererらは、GelMA / Laminin-411で培養した卵巣がん細胞スフェロイドが、従来の細胞単層(モノレイヤー)アプローチよりも高い再現性、より少ない複雑性および安全性・均一性をもたらすことを示しました(Kaemmerer, 2014)。

ラミニンを使用するメリット

  • ゼノフリーかつdefinedな組成
  • 生体内と同じ環境で培養可能
  • がん幹細胞ニッチの重要な要素
  • 増殖の維持および重要な細胞事象の制御
  • 様々ながん細胞の培養に使用可能

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