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2017/09/08

簡易プロトコール紹介:Dynabeadsを用いた細胞分離

  • 細胞分離
  • タンパク・核酸発現解析
  • 細菌・寄生虫検出

一次抗体結合Dynabeads™(ヒト用・マウス用)、二次抗体結合Dynabeadsあるいはストレプトアビジン結合Dynabeadsは、いずれも長年にわたり細胞分離アプリケーションに用いられています。
本稿では、ビーズの種類ごとに、日本語簡易プロトコールを紹介いたします。

* 細胞分離アプリケーションには、ビーズ粒径が4.5 µm(製品名に「M-450」が付く製品)またはビーズ粒径が2.8 µm(製品名に「M-280」または「M-270」が付く製品)の製品をご利用ください。

Dynabeadsの前処理

  1. Dynabeadsを緩やかに混合して懸濁させる。
  2. 必要量を試験管あるいはマイクロチューブに移す。
  3. 試験管・マイクロチューブを 専用磁石DynaMagにセットし2 分間静置する。
  4. 上清を除き、DynaMagから試験管・マイクロチューブをはずす。
  5. 充分量のWashing Buffer*を直ちに加える。
    * Washing Bufferの情報は「追加情報」の項目を参照
  6. Dynabeadsを緩やかに混合して懸濁させ3~ 5のステップを繰り返す。
  7. 上清を除いた洗浄後のビーズにWashing Bufferを加え再懸濁させる。

一次抗体結合 Dynabeadsによる細胞の分離方法

目的細胞をビーズに結合させて分離する場合(ポジティブセレクション)

  1. 細胞溶液に洗浄済みのビーズを加える。
    ※細胞の収率を上げる為には『ビーズ濃度の条件』を満たす事が最も重要で、更に『目的細胞に対するビーズの個数の条件』を満たすことが必要です。
    ビーズ濃度の条件:
    目的細胞に結合させて分離する場合は、反応液中のビーズの濃度が最低1×107個/mL以上になるようにビーズを加える。
    目的細胞に対するビーズの個数の条件:
    目的とする細胞(ビーズが結合する細胞)1個に対し、ビーズを4個以上**加える。したがって、細胞溶液を調整できる時は目的細胞の最終濃度を2.5 ×106個/mL以上になるように調整し、目的細胞1個あたり、ビーズ4 個以上を加えると良い。
    ** Dynabeads M-450シリーズの場合。Dynabeads M-280シリーズの場合は、5個以上
    注)血液から直接回収する場合など、細胞濃度の調整が困難な場合は、目的とする細胞1個に対し4個以上で必ず最終濃度が1×107個/mL以上になるようにビーズを加える。
  2. 適当量の Dynabeadsを加えた細胞溶液を穏やかに混合しながら(サンプルミキサーを用いる等)、20 分間4 ℃でインキュベートする。
    ※サンプルミキサーがない場合は最低5分間に1 度緩やかに混合する。
  3. インキュベート後、DynaMagにセットし2 分間静置させ、ビーズ・細胞結合物を管壁に集め上清を除去する。
    全体の液量が少ない場合、他の細胞の巻き込みを避けるため、インキュベート後にDynaMagの磁石の高さ位までWashing Bufferを加えてからセットしてもよい。
  4. DynaMagから外し、Washing Bufferあるいは培地(例:RPMI 1640/10% FCS)等を加えビーズ・細胞結合物を再懸濁させる。
  5. 3. ~ 4. を2 ~ 3 回繰り返し、洗浄する。

 

不要細胞を除去する場合(ディプリーション)

  1. 細胞溶液に洗浄済みのビーズを加える。
    ビーズ濃度の条件:
    不要細胞を除去する場合には、反応液中のビーズの濃度が2×107個/mL 以上になるようにビーズを加える。
    目的細胞に対するビーズの個数の条件:
    不要な細胞の除去を目的とする場合にはビーズが結合する細胞1 個に対し4 個以上**加える。
    ** Dynabeads M-450シリーズの場合。Dynabeads M-280シリーズの場合は、5個以上
  2. 適当量の Dynabeadsを加えた細胞溶液を穏やかに混合しながら30分間4 ℃で(サンプルミキサーに設置する等)インキュベート する。
    ※サンプルミキサーがない場合は最低5分間に1度緩やかに混合する。
  3. DynaMagにセットし2分間静置させ、ビーズ・不要細胞結合物を管壁に集め目的細胞を含む上清を新しいチューブ等へ移す。
    全体の液量が少ない場合、他の細胞の巻き込みを避けるため、インキュベート後にDynaMagの磁石の高さ位までWashing Bufferを加えてからセットしてもよい。

 

二次抗体結合 Dynabeadsによる細胞の分離方法

二次抗体結合Dynabeadsを利用する細胞分離には、一次抗体と二次抗体を結合させてから細胞と結合させる「直接法」(direct法)と、予め細胞に一次抗体を結合してから二次抗体結合Dynabeadsを加える「間接法」(indirect法)があります。

参考:直接法・間接法の使い分けの目安

直接法 間接法
  • 抗体値が高い一次抗体を使用
  • 細胞表面に一次抗体が認識する抗原を多く発現
  • 一次抗体を結合済みのDynabeadsをストックしたい場合
  • 複数種類の一次抗体を混合して使用
  • ディプリーション効率を特に高めたい場合
  • 抗体価が低い一次抗体を使用
  • 細胞表面に一次抗体が認識する抗原はあまり多く発現しない場合
  • 直接法による細胞分離後の純度に満足いかない場合

直接法

1×107個の二次抗体結合Dynabeads M-280あたり、0.8 - 3 µgの特異的一次抗体を加え上記ポジティブ分離あるいはディプリーションの方法に準じておこなう。

間接法

  • 細胞試料に一次抗体を加えて4℃で30 分間インキュベートする。
    利用する抗体は標的細胞及び抗原密度等によるが、通常、飽和状態になるように充分量加えることが好ましい。
  • 一次抗体で処理した細胞を遠心で集め(例:800 g、10 分間)上清を捨てるあるいは上清中の抗体を測定して抗体の結合量を調べる。
  • 一次抗体で処理した細胞をHank's balanced salt solution(HBSS)pH7.4 で洗浄して、結合しなかった抗体を除去する。洗浄操作は少なくとも2回は行う。
  • 抗体で処理した試料に二次抗体結合Dynabeadsを加えてDynaMagで回収すれば、特異的な抗体の結合した細胞をその他の細胞から分離することができる。

 

ストレプトアビジン結合Dynabeadsを用いる場合

ビオチン標識化された抗体を用いて細胞分離をおこなうこともできます。

Dynabeads M-280 Streptavidinへの抗体の結合

  1. Dynabeads M-280 Streptavidinを洗浄する。
  2. 洗浄したDynabeadsにビオチン標識化された抗体を加える。
    0.7~1.5 μg /107個 Dynabeads M-280 Streptavidinを目安とする
  3. ゆっくりローテートしながら、4℃で30分間インキュベートする。
  4. DynaMagにセットし2 分間静置させ、抗体が結合したDynabeadsを管壁に集め上清を除去する。
  5. DynaMagより外し、PBS/BSAを加えてビーズを分散させる。
  6. 4. ~ 5. を4 回繰り返す。各洗浄ステップの間は静かに振ってDynabeadsを再懸濁させる。

 

追加情報 - 推奨のバッファーと溶液

Washing Buffer

  • PBS/BSA: 最終濃度0.1%(w/v)のBSA(Fraction V)をPBS, pH7.4に加える。
  • PBS/FBS: 最終濃度2%(w/v)のFBSをPBS, pH7.4に加える。
  • PBS/HSA: 最終濃度0.1%(w/v)のHuman Serum Albumin を PBS, pH7.4に加える。

細胞培養培地

  • RPMI 1640 / 10% FCS 等

 

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