STEMCELL Technologies mTeSR Early-Onset Parkinson's Disease Human iPSC Line, Male, SCTi010-A
- 研究用
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SCTi010-A株は、高品質な患者由来ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)株です。この株は34歳で若年性パーキンソン病と診断された38歳男性ドナー(Mehanna R ら, Mov Disord Clin Pract, 2022)の末梢血単核球(PBMC)から樹立され、遺伝的特徴が明らかになっています。パーキンソン病の分子機構の解明だけでなく、創薬研究、および家族性・孤発性の両方を対象とするパーキンソン病の進行を研究するためのヒト疾患関連モデルとしてお役立ていただけます。
製品の特長
家族性・孤発性パーキンソン病研究向けの凍結ヒトiPS細胞
- 容易に疾患モデル化可能:臨床的にパーキンソン病と診断されたドナー由来
- 高い臨床的関連性:ドナー本来の遺伝的背景を維持
- 優れた信頼性:製造プロセス全体を通じて業界標準を満たす品質管理(ISCBI, 2009;ISSCR Standards, 2023)
- 学術・商業研究の両方に活用可能:IRB(治験審査委員会)承認プロトコル準拠・hPSCreg®に登録済
- 既存ワークフローへの組み込みが容易:TeSR™培地の維持培養系に対応
SCTi010-Aは、ゲノムの完全性を維持するためにゲノム非組込み型(non-integrating)手法により作製されたヒトiPSC株です。本細胞株はmTeSR™ Plus(商品コード:ST-100-0276) および ReLeSR™(商品コード:ST-100-0483)を用いた培養系の下で製造されており、優れた性能とロット間の一貫性を実現し、核型安定性と三胚葉分化能を維持しています。さらに、hPSCregに登録済みであり、倫理的な由来の追跡可能性を担保するとともに、国際的な品質・倫理基準にも準拠しています。
本品は研究用(RUO)であり、治験審査委員会(IRB)が承認したプロトコルのもとで学術および商業的な研究用途が許可されています。全エクソームシーケンス(WES)および全ゲノムシーケンス(WGS)のデータファイルは、ご要望に応じて提供可能です(価格はお問い合わせください)。
データ紹介
表1. 若年性パーキンソン病の男性ドナーに由来するヒトiPSC株 SCTi010-A
若年性パーキンソン病ヒトiPSC株 SCTi010-A は、臨床的にパーキンソン病と診断された38歳男性ドナーの末梢血単核球(PBMC)から樹立されました。ドナー情報には、自己申告情報、臨床記録、および全エクソームシーケンス解析に基づく人口統計学的情報、健康情報、遺伝学的特性が含まれます。性別は核型解析により確認され、祖先集団およびHLAハプロタイプは全ゲノム・全エクソームシーケンスデータから算出されました。身長、体重、およびBMI値は、献血施設で測定・算出されました。また、ABO式およびRh式血液型は次世代シーケンス法(NGS)により判定されています。iPSC = induced pluripotent stem cell(人工多能性幹細胞),PBMC = peripheral blood mononuclear cell(末梢血単核細胞)
図1. ヒトiPSC株 SCTi010-Aは、通常培養下において良好な細胞形態を示します
凍結保存したSCTi010-A細胞を解凍後、Corning® Matrigel® Matrix上でmTeSR™ Plus培地を用いて培養しました。培養7日目に明視野顕微鏡観察において、高密度で均一なiPSCコロニー形成が確認され、継代可能な状態では多層構造を示しました (A)。また、細胞は明瞭な核小体と高い核/細胞質比(nuclear-to-cytoplasmic ratio )を維持していました(B, C)。iPSC = induced pluripotent stem cell(人工多能性幹細胞)
図2. ヒトiPSC株 SCTi010-Aは正常核型を維持しています
(A) SCTi010-A株の解凍後、細胞(継代数 p27、n = 20)に対してGTLバンディング解析を実施した結果、正常核型が確認され、半数体ゲノムあたり425~500本のGバンド分解能においてクローン性染色体異常を示す所見は認められませんでした。(B) 代表的なp27継代iPSCにおける、20p11.21(緑色)および20q11.21(赤色)を標的とするプローブを用いた蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)解析。解析した細胞の92%で、それぞれのプローブシグナルが2組ずつ(計4シグナル)認められ、20番染色体の異数性(aneusomy)が存在しないことが示されました(n = 200)。 iPSC = induced pluripotent stem cell(人工多能性幹細胞)
表2. SNPマイクロアレイ解析によるSCTi010-Aのコピー数多型(CNV)の評価
Commercial Cell Bank由来のSCTi010-A iPSCバイアルからDNAを抽出し、大規模なコピー数変異(copy number variants:CNVs)を検出するためにSNPマイクロアレイ解析を実施した結果、細胞には報告対象となるCNVが14番染色体上(表中の太字部分)に1件認められました。なお、本解析において報告対象CNVとは、400 kb(キロベース)を超えるサイズのCNVと定義しています。アレイ設計、ゲノム上の位置情報、関連遺伝子、および染色体バンドの表記は、ヒトゲノム参照配列GRCh37/hg19に基づいています。 chr = chromosome(染色体)、bp = base pairs(塩基対)、SNP = single nucleotide polymorphism(一塩基多型)
図3. ヒトiPSC株 SCTi010-A由来細胞は未分化マーカーを発現します
細胞株 SCTi010-A の OCT3/4 および TRA-1-60 (いずれも未分化細胞マーカー)の発現についてのフローサイトメトリー評価結果。(A) 各マーカーの発現率は、解凍後3継代した細胞を用いて実施した2回の独立した実験の解析結果から定量しました。 (B) OCT3/4 および (C) TRA-1-60 の、代表的なフローサイトメトリー解析結果。 iPSC = induced pluripotent stem cell(人工多能性幹細胞)
図4. ヒトiPSC株 SCTi010-Aは優れた三胚葉分化能を示します
SCTi010-A由来の細胞を3群に分け、STEMdiff™ Trilineage Differentiation Kit(商品コード:ST-05230)を用いて分化誘導後、フローサイトメトリー解析を実施しました。 3胚葉系統について2種類のマーカー発現を評価し、その平均値をバーで示しています(n = 2)。PAX6およびNestinは外胚葉(ectoderm)系統、NCAMおよび**Brachyury(T)**は中胚葉(mesoderm)系統、CXCR4およびSOX17は内胚葉(endoderm)系統への分化を示します。
表3. SCTi010-A iPSC株の包括的なリスク関連バリアントのプロファイル
本表は、SCTi010-A iPSC株において同定されたリスク関連バリアントを示しています。 作業用セルバンク(Working Cell Bank)からDNAを精製し、ゲノム全体の遺伝学的特徴を網羅的に評価するために全ゲノムシーケンス(Whole-Genome Sequencing:WGS)を実施しました。シーケンス解析はNovaSeq X Plus Systemを用いて行われ、50倍(50X)の深度で実施されています。さらに、約20,000遺伝子のコード領域および隣接するスプライス接合部位においては、SureSelect Human All Exon V6 Kit(Agilent Technologies)を用いて追加的に高度解析をおこなっています。バリアントの検出および解析は、GATK4(Genome Analysis Toolkit 4)の標準的な解析手法に従って実施し、評価にはAIを用いた変異評価法(Convolutional Neural Network:CNN)を利用しました。高い信頼性を有すると判定されたバリアントについては、予測される機能的影響と該当するClinVar IDを付与しました。なお、ClinVarに登録されたバリアントは、シーケンスデータ上の裏付け(少なくとも2本以上のALTリード(変異アレルを支持するシーケンス結果))があり、かつClinVarでも一定の評価基準(1ゴールドスター以上)という条件をみたしています。 この解析により、SCTi010-A iPSC株の遺伝的な特徴や、健康に関係する可能性のある遺伝子変異について確認することができます。





