STEMCELL Technologies PneumaCult PneumaCult-ALI-S Medium
- 研究用
「PneumaCult™による呼吸器ウイルス感染の研究」最新情報
PneumaCult™-ALI-S Medium (ST-05050)は、気液界面(Air-Liquid Interface, ALI)でヒト小気道上皮細胞を培養するための、無血清かつBPEフリーの培地です。
本品で培養した小気道上皮細胞は、広範囲の粘液線毛分化を受けて立方上皮を形成し、in vivoのヒト小気道と同様の形態学的および機能的特徴を示します。
PneumaCult-ALI-S培地は、PneumaCult-Ex Plus培地(ST-05040)とともにin vitroヒト小気道モデル用の完全に統合されたBPEフリー培養系を構成します。
本品は、呼吸器研究、毒性研究、および医薬品開発に有用な、堅牢で組成が明らか(defined)な研究ツールです。
製品の特長
PneumaCult ALI-S Mediumで、ヒト小気道上皮細胞を血清・BPE不含条件下で気液界面培養
- ヒト小気道上皮細胞(HSAEC)の広範囲な粘液線毛分化と立方上皮形成を誘導し、小気道上皮を模倣
- 血清及びBPE(ウシ下垂体抽出物)を含まず、変動を最小化
- PneumaCult™-Ex Plusとともに、HSAECの増殖、維持、分化のための完全な最適化システムを構成
PneumaCultによる小気道上皮細胞分化の流れ
ヒト小気道上皮細胞(HSAEC)の拡大培養は、PneumaCult™-Ex Plus培地を用いた液内培養で行います。 気液界面(ALI)培養の初期には、PneumaCult-Ex Plusを頂端側と基底側の両チャンバーに添加します。細胞がコンフルエンスに達したら培地を除去して培養物をエアリフトし、PneumaCult-ALI-Sを基底側のみに添加します。21日間の分化を経て粘液線毛上皮が得られ、1年以上維持できます。
データ紹介
HSAECおよびHBECはPneumaCult-Ex Plus培地で培養すると、より速く増殖します
PneumaCult™-Ex Plus培地で培養したヒト小気道上皮細胞(HSAEC)およびヒト気管支上皮細胞(HBEC)は、他の小気道上皮細胞増殖培地で培養した細胞と比較して、すべての継代で高い増殖率を示しました。
*HBECはP1の物を使用しましたが、HSAECは凍結保存されたサンプルから開始したためパッセージ2(P2)からのデータとなります。
PneumaCult™-ALI-S mediumを用いたALI培養で、HSAECは分化して小気道上皮の形態を再現します
PneumaCult™-ALI-SまたはPneumaCult™-ALI培地を用いて28日間、3継代培養したHSAECおよびHBECをヘマトキシリン-エオシン(H&E)染色しました。PneumaCult-ALI-Sで分化したHSAECは、生体内の小気道上皮を表す薄い立方上皮層を形成しました。一方、PneumaCult-ALIで分化したHBECは生体内の気管支上皮に似た偽重層上皮を形成しました。
*ALI培養を固定したのちにパラフィン包埋し、切片にしてH&E染色しました。すべての画像は、40倍の対物レンズを使用して撮影され、インサートメンブレンの厚さは10 μmでした。スケールバー = 20 μm。
PneumaCult™-ALI-S mediumを用いて培養したHSAECでは小気道上皮マーカーが検出されます
小気道上皮マーカーであるSCGB1A1およびSCGB3A2は、PneumaCult-ALIで培養したHSAEC、およびPneumaCult™-ALI-SまたはPneumaCult-ALIで培養したHBECに比べて、PneumaCult-ALI-Sで培養したHSAECで高いレベルで検出されました。
*PneumaCult-ALI-SまたはPneumaCult-ALI mediumで28日間、3継代されたHSAECおよびHBECを示す、免疫染色したALI培養全体の共焦点画像です。ALI培養物を固定し、繊毛細胞(AC-チューブリン;緑)、クラブ細胞(SCGB1A1;マゼンタ)、および分泌タンパク質(SCGB3A2;赤)の抗体で染色しました。核はDAPI(青)で染色しています。すべての画像は、63倍の対物レンズを使用して撮影しました。
PneumaCult™-ALI-Sで培養したHSAECでは小気道上皮マーカーがより高レベルで検出されます
qPCRによる小気道上皮マーカーの発現解析から、SCGB1A1とSCGB3A2の相対的な発現量は、PneumaCult-ALI-Sで培養されたHSAECでは、PneumaCult-ALI-SまたはPneumaCult-ALIのいずれかで培養されたHBECと比較してより高くなりました。SCGB3A2の相対的な発現は、PneumaCult-ALIまたはPneumaCult-ALI-Sのいずれかで培養されたHBECでは検出することができませんでした。
*PneumaCult-ALI-SまたはPneumaCult-ALI mediumで28日間、3継代されたHSAECおよびHBECを小気道上皮マーカー、SCGB1A1とSCGB3A2に関して遺伝子発現解析を行いました。対象遺伝子の発現はハウスキーピング遺伝子TBPを用いて標準化され、相対量(RQ)として表しました。