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研究者の声

2018/04/17

マウスモデルによる造血器腫瘍や造血幹細胞分化の研究にベリタス取扱製品を使用 研究者の声【5】

  • 細胞分離
  • 用途別細胞培養

東京大学医科学研究所 先端医療研究センター 細胞療法研究分野の北村 俊雄 教授を訪ねて、ベリタス取扱製品および現在ご関心をお持ちの研究分野についてお話を伺いました。

研究者紹介

dr_kitamura.jpg

北村 俊雄 教授

東京大学医科学研究所

先端医療研究センター 細胞療法研究分野

経歴

1981年3月 東京大学医学部医学科 卒業

1983年6月 東京大学医学部第三内科 入局

1983年6月 国立がんセンター研究所ウイルス部リサーチレジデント

1985年7月 東京大学医学部第3内科 医員

1989年4月 米国DNAX研究所 博士研究員

1992年8月 米国DNAX研究所 シニアリサーチアソシエート

1996年9月 東京大学医科学研究所 造血因子探索寄付研究部門 客員助教授

1999年9月 東京大学医科学研究所 造血因子探索寄付研究部門 客員教授

2001年9月 東京大学医科学研究所 先端医療研究センター 細胞療法分野 教授

2009年4月 東京大学医科学研究所 幹細胞治療センター 幹細胞シグナル制御分野 教授併任

2018年4月 東京大学医科学研究所 先端医療研究センター センター長

現在に至る

 

研究目的および内容

研究目的

  • エピジェネティクス異常による造血器腫瘍の発生とその治療
  • 造血幹細胞の運命制御機構の解明
  • 新しい研究法の開発

研究内容

我々の研究室では主にマウスモデルを利用した白血病など造血器腫瘍の研究と造血幹細胞分化の研究を行っています。
私は先端医療研究センター細胞療法分野と幹細胞治療センター幹細胞シグナル制御分野を併任していますが、基本的には1つの研究室です。
スタッフは私を含めて4名です。メンバーは博士研究員3名、技術職員2名、秘書2名、大学院生13名(うち修士3名)、学部学生1名の構成です。
平成29年度に7名が学位を取得して卒業し、平成30年度には修士課程の学生が1名、博士課程の学生が5名入学しました(1名は内部進学)。
研究プロジェクトは、造血器腫瘍の発症の分子機構の解明、造血器腫瘍モデルを利用した新規治療法の開発、造血(幹)細胞の分裂と分化の分子機構の解明です。
造血細胞の分裂、分化、腫瘍化に関する基礎研究を中心に行ない、その成果を基盤として新たな治療法の開発研究も行なっています。
またG0マーカーや細胞分裂の回数を計測する細胞内システムとしてのセルサイクルカウンターなど、新たな研究ツールを発明して斬新な方向性から研究を行うことは当研究室の伝統です。 

インタビュー

これまで研究室ではどんなベリタスの製品を使用していましたか?またそれらを使用していた理由は何ですか?

北村教授: STEMCELL Technologies社で供給をされている「MethoCult」という培地を使用したのがはじめです。
きっかけは、米国での研究を実施していた1993年当時Terry Fox Laboratoryとの共同研究の話があり、彼らが造血系細胞の成育用で作成していたメチルセルロース培地をSTEMCELL Technologies社として供給し始めたことを知ったことです。
Terry Fox LaboratoryのDr. Connie EavesとSTEMCELL Technologies社創業者のDr. Allen Eavesとはその頃からのつき合いです。
企業により品質が安定化された製品が供給されることにより再現性高く研究を実施することができました。
(STEMCELL Technologies社の「MethoCult」は、通常ロット間差のあるメチルセルロースやその他因子等の原料の部分から品質の管理を行い製品の品質テストを行っているとうかがっています。)

ベリタス取扱製品を使用された理由

  • StemSpan SFEM medium
  • MethoCult M3234

血清フリーで安定した造血幹細胞の培養が可能なStemSpan、安定したコロニー形成が得られるMethocultはともに当研究室の研究にとても重要です。

  • Dynabeads M-280 Sheep anti-Rabbit IgG、Dynabeads M280 Sheep anti-Mouse IgG
  • Dynabeads Protein A/ Protein G

Dynabeads 磁気ビーズは最近使用し始めましたので、発表論文はこれからです。
ただ、以前に使用していたものより良さそうなので、今は全てDynabeads製品を使ってChIPを行っています。 

これからのプロジェクトやどのような製品に現在ご興味がございますか?

北村教授: G0期の細胞だけが光るマウスを作成しました。
造血幹細胞(LT-HSC分画)は90%がG0マーカー陽性です。陽性、弱陽性、陰性の分画に分けると陽性の分画は移植で効率よく生着しますが、残り2つの分画はあまり生着しません。
同じLT-HSCの中にも性質が違う細胞が混ざっていることを示しています。
また末梢血は最終分化した細胞ですので、100% G0マーカー陽性です。
今後、このマウスを詳細に調べていくことによって造血幹細胞の新しい側面を明らかにできる可能性があります。
その際にALDEFLUOR(STEMCELL Technologies社)でALDH活性を測定してprimitiveな造血幹細胞を同定することに興味があります。 

ベリタスのWebページをご覧いただいたことはございましたか?また、ベリタスを知るきっかけはどのようなものでしたか?

北村教授: 実はベリタスのウェブページを見たことが無かったのですが、プラスミドDNA精製カラムを使用したのをきっかけにベリタスのことは知りました。
高純度、高回収率でDNAを回収出来た上にコストパフォーマンスにも優れていましたので重宝しておりました。
その当時から、技術レベルの高いサプライヤーの製品を供給しているという良いイメージを持っておりました。
ベリタスが支援されている日本白血病研究基金は、私も以前研究費をいただいたことがあります。
またNPO法人白血病研究基金を育てる会が毎年開催されているチャリティゴルフコンペには、できるだけ血液学関係の研究者仲間を誘って参加させていただいています。

研究結果

変異型ASXL1と変異型SETBP1を発現させた骨髄細胞のコロニー形成能:replatingが可能になる

1044_Fig1.jpg

(Inoue et al. Leukemia, 2015 関連論文2より)

 

変異型ASXL1ノックインマウスの骨髄細胞のコロニー形成能

1044_Fig2.jpg

(Nagase et al. J Exp Med, 2018 関連論文1より)

 

関連論文

  1. Nagase, R., Inoue, D., Pastre, A., Fujino, T., Hou, H-A, Yamasaki,N., Goyama, S., Saika, M., Kanai, A., Sera, Y., Horikawa, S., Ota, Y., Asada, S., Hayashi, Y., Kawabata, K.C., Takeda, R., Tien, H.F., Honda, H., *Abdel-Wahab, O. and *Kitamura T. (2018) Expression of mutant Asxl1 perturbs hematopoiesis and promotes susceptibility to leukemic transformation. J Exp Med. 215:1729-1747.
  2. Inoue, D., Kitaura, J., Matsui, H., Hou, H-A, Chou, W-C, Nagamachi, A., Kawabata, K.C., Togami, K., Nagase, R., Horikawa, S., Saika, M., Micol, J-P., Hayashi, Y., Harada, Y., Harada, H., Inaba, T., Tien, H-F., Abdel-Wahab, O., and Kitamura, T. (2015) SETBP1 mutations drive leukemic transformation in ASXL1-murtated MDS. Leukemia 29:847-857.
  3. Oki, T., Nishimura, K., Kitaura, J., Togami, K., Maehara, A., Izawa, K., Sakaue-Sawano. A., Niida, A., Miyano, S., Aburatani, H., Kiyonari, H., Miyawaki, A. and Kitamura, T. (2014) A novel cell-cycle indicator, mVenus-p27K-, identifies quiescent cells and visualizes G0-G1 transition. Scientific Reports 4:4012.
  4. Inoue, D., Kitaura, J., Togami, K., Nishimura, K., Enomoto, Y., Uchida, T., Kagiyama, Y., Kawabata, K.C., Nakahara, F., Izawa, K., Oki, T., Maehara, A., Isobe, M., Tsuchiya, A., Harada, Y., Harada, H., Ochiya, T., Aburatani, H., Kimura, H., Thol, F., Heuser, M., Levine, R.L., Abdel-Wahab, O. and Kitamura, T. (2013) Myelodysplastic syndromes are induced by histone methylation-altering ASXL1 mutations. J. Clin. Invest. 123:4627-4640.

関連製品

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