ラーニングコーナー
2026/05/20
全血から末梢血単核細胞( PBMC )を調製する
- 細胞分離
ヒト末梢血単核細胞(Peripheral Blood MononuclearCells : PBMC)は、血液サンプルから採取され、フローサイトメトリー、細胞分離、細胞培養、細胞ベースアッセイなどさまざまな研究用途で利用されます。PBMCは円形核を有する白血球細胞の総称であり、リンパ球(T細胞、B細胞、NK 細胞)、単球、樹状細胞が含まれます。
・比重遠心分離法
・免疫磁気分離法( 例: EasySep™ Direct PBMC Isolation Kit使用)
本稿の内容も掲載した「血液細胞の調製・分離ハンドブック」が完成しました。
細胞分離の基本原理から、実験現場ですぐに使えるプロトコール、さらに免疫磁気分離・比重遠心分離・自動化手法までを徹底網羅!
また今回ご紹介する商品のサンプルもご用意ございます。
詳細は下記バナーよりご確認ください。
比重遠心分離法によるPBMC分離
比重遠心分離法は、最も広く使われているPBMC分離法のひとつです。この方法は、混合サンプルに含まれる細胞の比重の違いを利用して分離を行うものです(図2参照)。
操作としては、まずサンプルを比重液(例: Ficoll-Paque®、Lymphoprep™)の上に重層し、遠心分離します。遠心の過程で、各細胞タイプはその比重が周囲の比重液と等しくなる位置(アイソピクニックポイント)に移動し、層として分離されます。
比重遠心分離法によるPBMCの濃縮は、まず全血をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、比重液(例: Ficoll-Paque®、Lymphoprep™)の上に慎重に重層します。遠心分離中、密度の高い細胞(顆粒球や赤血球など)は媒体を通って下層へ沈殿します。
PBMCは比重液と血漿の境界面で層を形成するため、そこから丁寧に回収できます。詳細なプロトコールは冒頭でご紹介した「血液細胞の調製・分離ハンドブック」にてご確認ください。
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| 図1. ヒトの血液細胞の密度と相対的な数 全血から単核細胞を分離するには、比重液の密度が1.077 g/mLである必要があります。 Lymphoprep™やFicoll-Paque®は、サッカライドとジアトリゾ酸ナトリウムからなる類似の媒体です。 どちらも密度1.077 g/mLで、比重遠心法によって末梢血、臍帯血、または骨髄から単核細胞を分離する際に推奨されています。 |
比重遠心分離法によるPBMCの濃縮は、まず全血をリン 酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、比重液(例: Ficoll- Paque®、Lymphoprep™)の上に慎重に重層します。
遠心分離中、密度の高い細胞(顆粒球や赤血球など)は媒体を 通って下層へ沈殿します。PBMCは比重液と血漿の境界面 で層を形成するため、そこから丁寧に回収できます。
詳細な プロトコールは冒頭でご紹介した「血液細胞の調製・分離ハンドブック」にてご確認ください。
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| 図2. 比重遠心分離法によるPBMCの濃縮 |
比重遠心分離法は低コストでPBMCを分離できるという利点がある一方で、特異性や純度に限界があり、大量処理や自動化には適していません。また、一般的な手法ではあるものの、工程が複雑で時間がかかり、安定した再現性を得るには一定の熟練が求められます。サンプルを比重液へ慎重に重層し、ブレーキをオフにして30分間遠心分離した後、ターゲット細胞層を慎重に回収および洗浄します。そのため、サンプルからPBMCを分離するには通常45分以上かかります。
そこで、STEMCELL Technologies社のSepMate™チューブを使用すると、比重遠心分離の工程をより迅速かつ効率的に行うことができます。
SepMate™チューブは、特殊な仕切りにより血液を比重液上に素早く重層することができ、層の混ざりを防止します。これにより比重遠心分離の操作が簡素化され、エラーやユーザー間のばらつきが低減されます。
免疫磁気分離法によるPBMCの分離
手間と時間のかかる比重遠心分離法と比較して、免疫磁気分離法を用いると、全血からPBMCをワンステップで直接分離でき、自動化にも対応可能です。
たとえば、 EasySep™ Direct Human PBMC Isolation Kitを使用すると、赤血球・血小板・不要な細胞のみを免疫磁気的に除去することで、最短20分でPBMCを分離できます(図5参照)。未標識のPBMCは新しいチューブに移すだけで、そのままフローサイトメトリーや細胞培養などの次の工程に使用できます。
免疫磁気分離法の詳細については、冒頭でご紹介した「血液細胞の調製・分離ハンドブック」にてご確認ください。
EasySep Direct PBMC Isolation Kitによる分離と比重遠心分離法の違い
▶ 血小板の混入を低減
比重遠心分離法では血小板が除去されず、容易に活性化されて下流のアプリケーションへ影響する可能性があります。
初回の比重遠心分離後に血小板を除去するには追加の洗浄工程が必要で、時間もかかります。
EasySep™ Direct Human PBMC Isolation Kitは細胞分離の工程で血小板も同時に除去できるため、追加の洗浄は不要です。
▶ 好中球の混入を低減
血液サンプル中の好中球は、時間の経過とともに脱顆粒を起こし、密度も変化します。
そのため、採血から48時間以上経過したサンプルを比重遠心分離法で処理する場合、好中球のPBMC分画への混入が課題となります。
EasySep™ Direct Human PBMC Isolation Kitでは、抗体複合体と磁性粒子で不要な細胞のみを選択的に除去できるため、
比重遠心分離法と比べて好中球の混入が大幅に抑えられます(図4参照)。
▶ PBMC分離の自動化が可能
EasySept™ Direct Human PBMC Isolation KitによるPBMC分離は、 STEMCELL Technologies社の全自動細胞分離装置「RoboSep™-S」を使って自動化できます。
これにより、サンプルのハンドリングの手間を削減し、実験者の貴重な時間を有効活用できます。
サンプルのラベリングから磁気分離工程まですべてが自動化され、最大4検体まで同時に処理可能です。
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| 図3. EasySep™ Direct Human PBMC Isolation Kitによる分離の代表的なプロファイル (A) 塩化アンモニウムで溶血処理をした健常ドナー由来のヒト全血サンプル(CD45によるゲーティングなし、以下同様)、(B)全血をEasySep™ Direct Human PBMC Isolation Kitで分離されたPBMCの純度が98.3 ± 2.8%で、高純度に分離されたことが確認できます。(C) FSC対SSCフローサイトメトリー解析プロットの例を示しています。全血サンプルを比重遠心分離法で処理を行ったPBMC( 左) は27.0%、全血サンプルをEasySep™ Direct HumanPBMC Isolation Kitで分離したPBMC (右)は98.6%でした。比重遠心分離法によるPBMCの濃縮は、まず全血をリン 酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、比重液(例: Ficoll- Paque®、Lymphoprep™)の上に慎重に重層します。 |
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| 図4. EasySep™ Direct Human PBMC Isolation Kitは比重遠心分離法よりも細胞の混入を低減 全血サンプルからPBMCを分離する方法として、比重遠心法またはEasySep™ Direct Human PBMC Isolation Kitで分離後、細胞数を計測し、フローサイトメトリーで解析しました。 (A)比重遠心法とEasySep™ Direct Human PBMC Isolation Kitの両方で、24時間保存した血液サンプルから得られた有核細胞数はほぼ同等でした(平均±SD、n=14)。(B)EasySep™ Direct Human PBMC Isolation Kitを用いて24時間保存した血液からPBMCを分離した場合、残存する血小板(CD41)、赤血球(グリコフォリンA+/CD45-)、および好中球(CD66b+)は、比重遠心法による場合よりも少なくなりました(平均±SD、n=15)。(C) EasySep™ Direct Human PBMC Isolation Kitを用いて、24、48、72、 96時間保存した血液サンプルからPBMCを分離した場合も、比重遠心法より残存する好中球が少なくなりました(平均±SD、n=3)。 |
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| 図5. EasySep™ Direct Human PBMC Isolation Kitのプロトコール 概要 |
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