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注目の製品情報

2025/09/10

DynaGreen - 地球に優しい "次世代" 磁気ビーズ -

  • タンパク・遺伝子発現解析

環境への影響を抑えて持続可能な研究を行うために、マイクロプラスチックを含まず、従来品と同等かそれ以上に高性能である先駆的な磁気ビーズ「DynaGreen™」が開発されました。自然界で一般的に見られる無機材料のみで構成されています。


プロテオミクス研究を高感度に、そして環境に優しく

プロテオミクス研究は成長し続ける分野であり、様々な目的における標的タンパク質の発見を可能にしています。主な課題の一つは、最適な感度でタンパク質を検出することです。免疫沈降(immunoprecipitation; IP)は、特定の標的タンパク質やタンパク質複合体を濃縮することにより、サンプルの複雑性を低減します。

また、研究者や資金提供機関そして社会からの研究活動が環境に与える影響に対する関心は高まっています。DynaGreenは、30年にわたるDynabeads™の品質と革新に裏打ちされた、免疫沈降における高性能かつ環境に優しい新たな選択肢です。環境的に持続可能な研究を考えたマイクロプラスチックフリーのDynaGreen磁気ビーズは、グリーンケミストリーの12原則 に基づいて製造・輸送され、皆様のお手元に届きます。

さらに、DynaGreenにはACT®ラベルが付いています。これはMy Green Lab®によって第三者認証された環境影響スコアであり、研究者が持続可能な製品を選択する際の判断材料です。ACTラベルの原則について、詳しくは act.mygreenlab.org をご覧ください。

DynaGreen磁気ビーズの特長

免疫沈降(IP)により、磁気ビーズなどに固定化された特異的抗体を使用して、タンパク質、タンパク質複合体、タンパク質-核酸複合体、およびその他の抗原(Ag)をアフィニティー精製することができます。

磁気分離法は迅速かつ穏やかであり、貴重なタンパク質に最低限の物理ストレスしか与えません。直接法または間接法により、高収量で低非特異的なIPを再現性をもって行うことができます。

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図1. DynaGreen磁気ビーズ
(左)製品外観
(右)ビーズの走査型透過電子顕微鏡(STEM)画像

更に粒径約250 nmのサブミクロンサイズのビーズ(図1)は、沈降速度が遅く、標的捕捉表面積が広いため、効率的な分離を可能にします。
加えて、小さな粒径は素早い結合動態を示し、ビーズが溶液中の標的に近接することによりインキュベーション時間が短縮され、80分未満のプロトコルを実現します(図2)。

また、Thermo Scientific™ KingFisher™装置による自動化に対応しており、1回のランで最大96サンプルをわずか40分で処理でき、手作業の時間を大幅に削減しながら、手動プロセスと同様に非特異的結合が低く、再現性の高い結果が得られます。

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図2. DynaGreen磁気ビーズを用いた、直接法または間接法による免疫沈降(IP)
(左)直接法(Direct IP)の手順は、1) 選択した抗体をDynaGreen磁気ビーズに30分間添加することで開始し、2) 抗体-ビーズ混合液にサンプルを30分間添加し、3) ビーズを洗浄して未結合・非特異的結合を除去し、4) 標的タンパク質を溶出バッファーでビーズから溶出します。
(右)間接法(Indirect IP)の手順は、1) 選択した抗体をサンプルに30分間添加することで開始し、2) サンプル-抗体混合液にDynaGreen磁気ビーズを30分間添加し、3) ビーズを洗浄して未結合・非特異的結合を除去し、4) 標的タンパク質を溶出バッファーでビーズから溶出します。

短時間のプロトコルは、異なるタンパク質間の弱く一時的な相互作用の捕捉(Co-IP)や、優れたシグナル対ノイズ比を得るために重要です。
さらに、標的タンパク質が高収量・高純度で得られるため、ウェスタンブロッティングや質量分析に適しています。

DynaGreen 製品選択ガイド

プロテインAやプロテインGを結合した磁気ビーズに加え、Fc結合を標的にするCaptureSelect™ Anti-IgG-Fc磁気ビーズが新たに提供されました。

製品 DynaGreen Protein A DynaGreen Protein A/G DynaGreen Anti-IgG-Fc
用途 ウサギ抗体の使用時、特に多量のタンパク質のプルダウン ・マウスおよびウサギ抗体の使用時、特に高収量の標的タンパク質を要する場合
・あらゆる用途に適しており、質量分析への適合性が高い
・複数動物種の二次抗体との使用が可能
・高純度のサンプルを要する場合、特に質量分析などの用途向け
結合能 13–14 µg/mL
直径 250 nm
濃度 20 mg/mL
免疫沈降(IP)あたりのビーズ使用量 25 µL
収量
非特異的結合 極低
実験プロトコル IP(直接法または間接法)、質量分析
自動化 自動化対応 ー KingFisher Purification System向けプロトコルを使用可能

結合能が高いほど少なくなります。競合品の場合、通常40–100 µLです。

異なる動物種の抗体サブクラスに対する親和性の違い

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注)B=binding は結合を示しますが、結合力は確認されておりません。

DynaGreenのデータ紹介

免疫沈降(IP)において、DynaGreenは競合品と同等以上の収量と純度を示します

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図3. DynaGreenまたは他社製磁気ビーズを用いて、Jurkat細胞ライセートからIP(直接法または間接法)でCD81またはCD3を分離し、ウェスタンブロットで解析した結果
(A) CD3のIPを、DynaGreen Protein A (a, b) および他社製磁気ビーズで実施し、結果を比較しました。
(B) CD81のIPを、DynaGreen Protein A/G (b, c), DynaGreen CaptureSelect Anti-IgG-Fc (Multi-species) (a,d) または他社製磁気ビーズで実施し、結果を比較しました。

DynaGreen Protein A 磁気ビーズは、直接法と間接法どちらのIPワークフローにおいても、すべての競合他社製品の性能を上回りました。
DynaGreen Protein A/G 磁気ビーズは、間接法のIPワークフローにおいて、すべての競合他社製品の性能を上回りました。
DynaGreen CaptureSelect Anti-IgG-Fc (Multi-species) 磁気ビーズは、複数の他製品と同等量の標的タンパク質を得ながら、最も非特異的結合が少ないIP結果を示しました。

免疫沈降(IP)において、DynaGreen表面上の抗体結合タンパク質は、対応する動物種・アイソタイプ特異的抗体と相互作用して機能します

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図4. IPとウェスタンブロットによるアイソタイプ特異的抗体の解析
(A, B) CD81のIPをDynaGreen Protein A/GおよびDynaGreen CaptureSelect Anti-IgG-Fc (Multi-species)で、(C) CD3のIPをDynaGreen Protein Aで実施しました。インキュベーション後、LDSバッファーまたは低pHで溶出しました。陽性コントロールとしてDynabeads磁気ビーズを使用しました。

DynaGreen Protein A/G および DynaGreen CaptureSelect Anti-IgG-Fc (Multi-species) ビーズに対してマウスIgG1 抗CD81抗体を結合し、DynaGreen Protein Aビーズに対してウサギIgG 抗CD3抗体を結合しました。これらのDynaGreenビーズを、IPプロトコルに従いJurkat細胞ライセートとインキュベートしました。インキュベーション後、CD81およびCD3を Invitrogen™ NuPAGE™ LDSサンプルバッファーまたは低pH条件で溶出しました。
全3種のDynaGreen製品は、再現性のある標的回収を実現し、変性条件および低pHの溶出バッファーのどちらにも適合しました。

DynaGreenで免疫沈降(IP)したサンプルは、質量分析が可能です

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表1. DynaGreen磁気ビーズによるIPの質量分析結果
各DynaGreen製品につき3回の分析的反復を行い、標的タンパク質を分離しました。IPサンプルおよび一次抗体なしの陰性コントロールサンプルにおける標的特異的ペプチド数とシグナル強度を示しています。Dynabeads Protein G および Dynabeads Protein A をコントロールとして使用しました。TIC:総イオン電流。

上述の抗CD81または抗CD3と結合したDynaGreen磁気ビーズにより分離したCD81およびCD3は、問題なく質量分析に使用できました(表1)。各DynaGreen製品につき3回の分析的反復を行い、標的タンパク質を分離しました。
質量分析の結果を、同定された標的特異的ペプチドの数およびシグナル強度(total ion current; TIC)として示しました。同定された標的ペプチド数は、コントロールビーズ(Dynabeads)で得られたものと同等かそれ以上でした。さらに、ポリマーや界面活性剤による干渉は報告されず、一次抗体なしで免疫沈降を行った陰性コントロールサンプルには標的タンパク質は検出されませんでした。
なお、DynaGreen Protein A/Gビーズでは、陰性コントロールサンプル4つのうち1つで標的ペプチドが検出されましたが、そのシグナル強度は陽性コントロールサンプルの約0.01倍です。これは、網羅的ではなくターゲットを狙った高感度な検出によって得られた非特異的結合によるシグナルと考えられます。

まとめ

DynaGreenは、革新的かつ持続可能な製品設計を採用し、独自のサブミクロンサイズの磁性ビーズの利点を活用したシンプルで迅速かつ信頼性の高い新たな製品です。本製品は、プロテオミクス研究をより環境に優しい方法で加速します。

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