ラーニングコーナー
2026/05/20
ポジティブ分離とネガティブ分離:違いとアプリケーション
- 細胞分離
免疫磁気細胞分離法には、ネガティブ分離とポジティブ分離の2通りの分離方法があります。それぞれの違い・特徴・アプリケーションについてご紹介します。
本稿の内容も掲載した「血液細胞の調製・分離ハンドブック」が完成しました。
細胞分離の基本原理から、実験現場ですぐに使えるプロトコール、さらに免疫磁気分離・比重遠心分離・自動化手法までを徹底網羅!
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ポジティブセレクションとネガティブセレクションの違い
免疫磁気細胞分離法のポジティブセレクションでは、特定の細胞表面タンパク質をターゲットとする抗体またはリガンドでターゲット細胞を直接標識します。
抗体またはリガンドは磁性粒子に結合し、それらが標識となって、サンプルの磁場内でのインキュベート後に上清を廃棄することで、ターゲット細胞がチューブ内に残ります。磁気細胞分離法のポジティブセレクションの一般的な特徴は以下のとおりです。
- 細胞を高純度で分離
- 一般的に抗体や磁性粒子に結合している細胞を分離
- ターゲット細胞に固有の細胞表面マーカーに対する抗体カクテルを使用
- ネガティブ画分から細胞集団を分離するシーケンシャル分離が可能
一方、免疫磁気分離法のネガティブセレクションでは、特定の細胞表面タンパク質をターゲットとする抗体またはリガンドで不要な細胞を標識します。抗体またはリガンドは磁性粒子に結合しているため、サンプルを磁場内でインキュベートすると、不要な細胞がチューブ内に残り、標識されていないターゲット細胞を上清から回収できます。ターゲット細胞は抗体またはリガンドの特異的なターゲットではないため、磁性粒子に結合しない状態で保たれます。免疫磁気分離法のネガティブセレクションの一般的な特徴は以下のとおりです。
- 磁性粒子に結合していない細胞を分離
- サンプル操作を最小限に抑えられる迅速かつ簡単なプロトコール
- 不要な細胞をすべてターゲットとし、ターゲット細胞をターゲットとしない抗体カクテルを使用
使用予定の具体的なアプリケーションに関するデータや推奨事項の有無など、不明点がある場合はお問い合わせください。
また、分離方法(ポジティブ分離とネガティブ分離)や適切な試薬の選択で迷われた際にはベリタスまでお問い合わせください。
免疫磁気分離法の一般的なアプリケーションと推奨するセレクション方法の例を以下に紹介します。
FACSの前処理としてのネガティブセレクションによるターゲット細胞の濃縮
低頻度の細胞タイプの蛍光活性化セルソーティング(FACS)による分離は、ソーティングに時間がかかりすぎることがあります。FACS前に免疫磁気分離法でターゲット細胞を事前濃縮をすれば、セルソーティングに必要な時間を大幅に短縮できます。この場合、迅速なプロトコールかつ回収率が高いことが求められ、フローソーティングの工程で得られるターゲット細胞数を最大化するうえで重要となります。
一般的に、ネガティブセレクションは迅速で回収率が高く、ターゲット細胞をラベルしない点で最適な方法です。ネガティブセレクションでは、FACSに使用する特定の細胞表面マーカーに対する蛍光標識抗体を自由に選択することができます。
FACS前の事前濃縮は、抗原特異的な細胞、ヘルパーT細胞のサブセット、B細胞、自然リンパ球(ILCs)などの幅広い細胞サブセットに対して行うことができます。
間接的ポジティブセレクションによる希少な細胞タイプの分離
専用の細胞分離キットが市販されていない、あるいは希少な細胞の分離には、間接的ポジティブセレクションを使用できます。この手法では、自身で用意した一次抗体を使用して、ターゲット細胞を標識します。その後に、使用した一次抗体に結合するビオチン、PEやAPCで標識された蛍光標識二次抗体を使用して、一次抗体で標識されているターゲット細胞に蛍光標識二次抗体を介して磁性粒子を結合し、免疫磁気分離します。このようにして、間接的ポジティブセレクションで、ほぼすべての細胞タイプを分離できます。
分離法の併用による複雑な細胞タイプまたは複数の細胞タイプの分離
複雑な細胞タイプを分離するために、ネガティブセレクションとポジティブセレクションの併用が必要なことがあります。
たとえば、CD4+CD127lowCD25+制御性T細胞(Treg)の分離は、3種類の細胞表面マーカーに基づいて細胞を選別する必要があります。ネガティブセレクションとポジティブセレクションを併用すれば、この分離が可能になります。STEMCELL Technologies社の EasySep™ Human CD4+CD127lowCD25+ Regulatory T Cell Isolation Kitのプロトコールの概要について、図1に示しています。
ポジティブセレクションとネガティブセレクションを併用するシーケンシャル分離で、単一サンプルから複数の細胞タイプを分離することもできます。この手法は、サンプル量が限られていて、サンプルを分割したくない場合に特に有用です。
| 図1. EasySep™ Human CD4+CD127lowCD25+ Regulatory T Cell Isolation Kit (ST-18063) の プロトコール |
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