HLA(ヒト白血球型抗原)技術情報用語集
自然抗体
抗HLA抗体の検出感度が向上した結果、免疫歴のない健常者からも抗HLA抗体が検出されることがあります。これを「自然抗体」といい、HLA抗原を免疫原とするアロ抗体とは区別されています。「自然抗体」とは、ウイルスや食物由来のタンパク質を免疫原とし、HLA抗原とエプレットを共有する抗体であると考えられています。臨床的な意義については、まだ十分なデータが蓄積されておらず、明確ではありません。なお、自然抗体が発現する頻度は試薬のLot間で差があり、その中でも高頻度で観察されるアレルが存在するという研究結果もあります(※)。
メキシコの健常人に見られた抗HLA抗体(Class I)
● Ab:メキシコ人集団におけるHLAアレル頻度
● Mex:メキシコ人集団におけるHLA抗原の有無
● Jap:日本人集団におけるHLAアレル頻度

出典:Nadim El-Awar , Transplantation 2008; 86
日本人とメキシコ人の健常男性に検出された自然抗体と検出割合

出典:移植とHLA抗体:HLAタイプ&スクリーンと移植後抗体モニタリング
佐治博夫(特定非営利活動法人HLA研究所)
(※)LABScreen Single Antigen class I/II試薬のLotと自然抗体が確認されたアレルの関係
