研究者の声
2026/06/11
ヒト制御性T細胞の機能制御に関わる研究でFrozen PBMCs およびEasySepを使用 研究者の声【49】
- 細胞分離
制御性T細胞(Treg)は、免疫反応を抑制・調節して自己寛容を維持し、過剰な炎症や自己免疫反応を防ぐ免疫細胞の一種であり、他のT細胞の活性化や増殖を抑えることで、自己免疫疾患やがんなど様々な免疫関連疾患との関連が示唆されています。 今回、大阪大学の市山 健司先生には、Frozen PBMCs およびEasySepを用いてnaïve Treg細胞を単離していただきましたので、その事例をご紹介いたします。
研究者紹介
大阪大学 免疫学フロンティア研究センター
実験免疫学
研究室のホームページ
※ 所属や役職等は掲載当時のものです
研究目的
制御性T(Treg)細胞の主要な転写因子であるFOXP3は、特定の遺伝子の発現を活性化または抑制することで、Treg細胞の機能を制御している。しかし、その詳細な分子メカニズムには未解明な点が多く残されている。これまでに我々は、マウスTreg細胞を用いた解析により、転写因子Ikzf1がFoxp3と相互作用し、炎症性サイトカインIFN-γの発現を抑制することで、Treg細胞の機能的安定性の維持に関与することを明らかにしてきた。一方で、ヒトTreg細胞におけるIKZF1の役割についてはまだ十分に解明されていない。そこで本研究では、IKZF1がヒトTreg細胞の機能において果たす役割について検討した。
方法及び材料
ヒトTreg細胞におけるFOXP3およびIKZF1の相互作用を確認するため、健常ドナー由来のFrozen peripheral blood mono-nuclear cellsからEasySep Human CD4+CD127lowCD25+Regulatory T Cell Isolation Kitを用いてnaïve Treg細胞を単離し、共免疫沈降実験を実施した。
さらに、IKZF1を消失した際のヒトTreg細胞の機能安定性を確認するため、がん組織に浸潤したヒトTreg細胞をEasySep Human CD4+ T Cell Isolation Kitおよびセルソーターにより単離し、IKZF1分解誘導剤であるPomalidomideと共培養後、FOXP3の発現およびIFN-γの産生をFACS解析により検出した。
結果
ヒトTreg細胞を用いた共免疫沈降法によりFOXP3とIKZF1が結合するかどうか検証したところ、FOXP3とIKZF1が相互作用し、複合体を形成することが明らかとなった(図1)
また、IKZF1の特異的な分解誘導剤であるPomalidomideを用いてヒトTreg細胞のIKZF1発現を抑制した結果、Treg細胞からの有意なIFN-γ産生およびFOXP3の発現低下が確認された(図2)。
![]() 図1.ヒトTregにおけるFOXP3とIKZF1の相互作用の検証 |
結論
本研究の結果から、ヒトTreg細胞の機能安定性維持にFOXP3とIKZF1の相互作用が重要であることが明らかとなった。TregはCD4陽性T細胞の5-10%と割合が少ないためその単離が難しい細胞であるが、EasySepの使用により安定したTreg単離が可能となり、再現性の高い結果を今回得ることができた。
近年、Tregが自己免疫疾患やがんなど様々な免疫関連疾患に寄与する可能性が明らかになり、ヒトの免疫疾患制御に向けてTregを操作あるいは標的とした治療法の開発が世界中で注目を集めている。今後は、FOXP3 とIKZF1 の相互作用を標的としたTreg細胞の新たな機能制御法が確立され、画期的な免疫療法の開発につながることが期待される。
ご利用いただいた製品
| 商品コード | 商品名 | 梱包単位 |
|---|---|---|
| ST-18063 | EasySep Human CD4+CD127lowCD25+ Regulatory T Cell Isolation Kit | 1 kit |
| ST-70025 | Human PB MNC, Cryo | 1 x 10^8 cells |
| ST-20144 | EasySep buffer | 1000 mL |
| ST-18000 | EasySep magnet | 1 個 |


