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研究者の声

2020/09/30

Luminexを利用した抗体・抗原検出に - AnteoBindによる実験の簡便化と最適化 研究者の声【26】

研究者紹介

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日本赤十字社 血液事業本部 中央血液研究所
研究開発グループ 白血球チーム

鎌田 裕美先生

インタビュー

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<インタビュー風景(左:鎌田先生、右:株式会社ベリタス 技術グループ 加瀬田)>

研究の目的について教えて下さい。

輸血副作用の一つであるTRALI(輸血関連急性肺障害) の検査方法の開発をしています。
TRALIにはHLA(ヒト白血球抗原)、HNA(ヒト好中球抗原)、 CD36(血小板や単球等に発現する膜タンパク質)が関与していると考えられており、以前はそれぞれの項目について異なる方法での検査が必要でしたが、技術の進歩に伴い、今ではOne Lambda社のLABScreen Multiキットを用いてマルチプレックス解析ですべての項目を一気に検査することが可能になりました。
もしマルチプレックス解析でいずれかの項目で陽性の疑いが出た場合には、その項目についての確認検査が必要となりますが、従来の検査方法はマルチプレックス解析よりも感度や特異度が低く、操作が煩雑なため、確認検査としては最適ではありません。さらに細胞の取り扱いが難しく測定値がばらついたり、施設間差が出やすいことも課題でした。
そのため、確認検査用に感度や特異度が高く・操作が簡便な新しい検査方法の開発が必要とされています。

AnteoBindをどのような実験に使われていますか?

新しい検査方法としてICFA法(Immunocomplex Capture Fluorescence Analysis)の応用を検討しています。
この方法では、血液中の抗HNA抗体を検出するため、HNA抗原を発現させた細胞と、既知の抗HNAモノクローナル抗体を結合させた蛍光ビーズを必要としますが、このモノクローナル抗体と蛍光ビーズ(Luminex®ビーズ)の結合にAnteoBindを使っています。

研究者の声図1.png

<図1、ICFA法の原理(HNA-1, HNA-2の場合)>

AnteoBindを試したきっかけを教えてください。

同じ研究チームには他にもビーズへタンパク質を結合させる実験をしている方がいらっしゃって、その方から「AnteoBindを使うと抗体が良い配向性でビーズに結合するらしい」と聞き、試してみることにしました。

AnteoBindを使った感想について伺っていきたいと思います。
まず、使用手順についてはいかがでしたか?

とても簡単だと感じました。従来の共有結合の方法では、ビーズの活性化の手順が多く、また試薬が不安定なために素早い作業が要求されていました。それと比べてAnteoBindは手順が簡単なことに驚きました。作業する人による違いも少なく、他の施設の方にお願いしてビーズを作成してもらうこともできるようになりました。試薬の扱いもしやすいです。以前より丁寧に作業を進めることができるため、材料のロスが減少しました。私の研究の場合には、メーカー推奨のプロトコルにこれまで従来法で検討していた条件(抗体の量や濃度)を適用すればよく、大きくプロトコルに手を加えなくとも使用することができました。

AnteoBindを使ったことで、実験の結果は改善しましたか?

研究の中で課題となっていた、非特異的な反応によるバックグラウンド値が低下し、一部の抗体ではより良好な反応が得られるようになりました。
それによって検出したい項目の感度を高くすることができました(図2)。また、作成したビーズを用いてICFA法を行ったところ、各HNAの項目について特異的に検出することができました(図3)。

研究者の声図2.png

<図2、蛍光ビーズへの抗体のカップリング方法>
AnteoBind(旧AMG)を用いた場合、従来法と比較して非特異的結合によるバックグラウンド値が低下し、8J225のシグナルが特に高くなった。

研究者の声図3.png

<図3、ICFA法の反応性>
各モノクローナル抗体を用いた場合のICFA法の反応性について、既知の血清を用いて検証を行ったところ、各HNAの項目について特異的に検出ができることが示された。

従来法と比べてどのような印象を持たれましたか?

先述の通り、一つは手順が簡単であること、それにより再現性が向上すること、もう一つにはバックグラウンド値の低下など結果の改善ができるところに大きなメリットがあると感じています。

AnteoBindは他のアッセイにも応用できそうでしょうか?

同じチーム内でもAnteoBindを使って研究している方が増えています。
AnteoBindにはLuminexビーズ以外にも他の材質のビーズやプレート用(ELISA)のキットもあるので、様々なアッセイに応用できると思います。

研究について、今後の展望をお聞かせ下さい。

このICFA法を用いたTRALIの検査を各項目についてさらに確立された系にしていきたいと考えています。

最後に、AnteoBind以外の他製品を通しても弊社(ベリタス)と長くお付き合い頂いておりますが、ベリタスに対して要望などございましたらお願いいたします。

各種HLAタイピングキットや抗HLA抗体測定キットなど、造血幹細胞移植や輸血検査にとって今となっては無くてはならない製品を取り扱っている会社ですので、今後ともよろしくお願いします。

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第66輸血 HPA HNA-WS_thumbnail.png

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