ラーニングコーナー

2018/11/27

ヒト造血コロニーアッセイ用メチルセルロース培地「MethoCult」選択のポイント

  • 用途別細胞培養

STEMCELL Technologies社の「MethoCult」(メソカルト)は、造血前駆細胞コロニー測定用の半固形培地です。
Colony-forming cell(CFC)もしくは colony-forming unit(CFU)の「ゴールドスタンダード」として、造血前駆細胞の検出・定量に幅広く使用されています。

本稿ではヒト細胞用「MethoCult」についてご紹介いたします。

ヒト用「MethoCult」について

「MethoCult」はTerry Fox Laboratory(カナダ)の研究者により開発された製法に従って、造血系細胞の成育が最適になるよう調製されたメチルセルロースベースの造血前駆細胞コロニーアッセイ用培地です。
メチルセルロースは培地を固まらせずに粘稠性を増大させる性質があり、寒天のような半固体状サポートシステムよりも赤血球系コロニーをより良く成長させるとともに最適な顆粒球コロニーを形成させるため、ゲル化剤として広く用いられています。

すべてのMethoCult製品は、Terry Fox Laboratory の規格に準拠した厳重な品質管理のもとに調製されており、ロット間の品質差がありません。
それぞれ目的別の製品がありますので用途に合わせてご利用いただけます。

 

MethoCultの操作概要

MethoCult_assay.png
  1. 細胞の準備
  2. MethoCultに細胞を加えボルテックス
  3. Blunt-End Needleとシリンジを用いてディッシュに分注し、37℃、5% CO2下で湿度を保って培養
    (14 - 16日間、MethoCult Expressは約7日間)
  4. コロニーの観察およびカウント(コロニーをピックアップして、染色、PCR、染色体解析などを行うことも可能)

MethoCultの使用量

通常完全培地およびEPO抜き培地

Culture Dish 1枚当たりMethoCult 1 mLに細胞溶液0.1 mLを加えて使用します。

その他不完全培地

添加成分を液体培地に溶解し、所定の割合で混合したものをCulture Dish 1枚当たり1 mL 使用します。例えば、MethoCult H4230(製品コード:ST-04230)の場合、Culture Dish 1枚当たり、MethoCult H4230 0.8 mLと、任意の成長因子やサプリメントを加えたIMDM 0.2 mL を混合し、細胞溶液0.1 mLを加えて使用します。

MethoCultの保存法

-20℃に保存し、凍結融解を繰り返さないでください。

ヒト用 MethoCultのアプリケーション例

  • 造血前駆細胞の増殖・分化に及ぼす内因性および外因性調節物質の影響に関する研究
  • 薬剤開発のためのin vitro毒性試験
  • ヒトES/iPS細胞由来 造血幹細胞に対する分化能の評価
  • LTC-ICアッセイにおける原始造血前駆細胞の定量
  • 遺伝子導入プロトコールの最適化と評価
  • 造血幹細胞移植に向けた造血幹細胞の評価研究

 

ヒト用「MethoCult」アプリケーション別 培地選択

ヒトMethoCultの選択に迷った場合は、「MethoCult H4034 Optimum」を推奨しております。

アプリケーション 製品名
BM、PB、MPB、CBを用いた一般的な造血コロニーアッセイ
CFU-E、BFU-E、CFU-GM、CFU-G、CFU-M、CFU-GEMMが観察可能
MethoCult H4034 Optimum(ST-04034V)
MethoCult H4434 Classic(ST-04434、ST-04444)
分離した細胞(例:CD34+細胞)を用いた一般的な造血コロニーアッセイ
CFU-E、BFU-E、CFU-GM、CFU-G、CFU-M、CFU-GEMM が観察可能
MethoCult H4435 Enriched
(ST-04435、ST-04445)
BM、PB、MPB、CBを用いた造血コロニーアッセイ
CFU-GM、CFU-G、CFU-Mが観察可能
MethoCult H4035 Optimum without EPO(ST-04035)
MethoCult H4534 Classic without EPO(ST-04534)
分離した細胞(例:CD34+細胞)を用いた造血コロニーアッセイ
CFU-GM、CFU-G、CFU-Mが観察可能
MethoCult H4535 Enriched without EPO(ST-04535)
CBを用いた短時間での造血コロニーアッセイ(7日間で観察可能)
Progenitorの総コロニー数の観察に最適化
MethoCult Express(ST-04437, ST-04447)
BM、PB、MPB、CB、分離した細胞(例:CD34+細胞)を用いた無血清培地での造血コロニーアッセイ
CFU-E、BFU-E、CFU-GM、CFU-G、CFU-M、CFU-GEMMが観察可能
MethoCult SF BIT H4436(ST-04436)
BM、PB、MPB、CB、分離した細胞(例:CD34+細胞)を用いた無血清培地での造血コロニーアッセイ
CFU-GM、CFU-G、CFU-Mが観察可能
MethoCult SF BIT H4536(ST-04536)
BM、PBなどを用いた条件培地による造血コロニーアッセイ
CFU-E、BFU-E、CFU-GM、CFU-G、CFU-M、CFU-GEMMが観察可能
MethoCult H4531を用いたEPO非依存性のerythroid progenitor assayのポジティブコントロールとしても使用可能
MethoCult H4431(ST-04431)
CSFの代わりに条件培地を用いた造血コロニーアッセイにおける、EPO非依存性のerythroid progenitor の観察 MethoCult H4531(ST-04531)
ヒト LTC-ICアッセイ MethoCult H4435 Enriched(ST-04435)
ヒトES/iPS細胞から分化させた細胞を用いた、無血清培地での造血コロニーアッセイ
CFU-E、BFU-E、CFU-GM、CFU-G、CFU-M、CFU-GEMMが観察可能
MethoCult SF H4636(ST-04636)
サル 造血コロニーアッセイ

MethoCult H4435 Enriched
MethoCult H4034 Classic
MethoCult H4434 Optimum
MethoCult H4535 Enriched without EPO
MethoCult H4035 Optimum without EPO
MethoCult H4534 Classic without EPO

成長因子など、ユーザーご自身で添加・調製可能なMethoCult
血清含有培地、EPO含有培地、無血清培地を販売

MethoCult H4230(ST-04230)
MethoCult H4330(ST-04330)
MethoCult SF BIT H4236(ST-04236)
MethoCultのベースとなる培地
ユーザーご自身で成分を添加・調製可能
MethoCult H4100(ST-04100)

略語説明

  • BM:Bone Marrow
  • PB:Peripheral Blood
  • MPB:Mobilized Peripheral Blood
  • CB:Cord Blood
  • CFU-E: Colony-Forming Unit - Erythroid
  • BFU-E: Burst-Forming Unit - Erythroid
  • CFU-GM: Colony-Forming Unit - Granulocyte/Macrophage
  • CFU-G:Colony-Forming Unit - Granulocyte
  • CFU-M:Colony-Forming Unit - Macrophage
  • CFU-GEMM:ColonyForming Unit - Granulocyte, Erythrocyte, Macrophage, Megakaryocyte

 

ヒト用「MethoCult」成分別 培地選択

※ 各成分の濃度は非開示となっております。ご了承ください。

ヒト用MethoCult 製品コード 成分
MC FBS BSA Insulin +
Transferrin
2-ME 成長因子
EPO SCF,GM-CSF,IL-3 その他
H4034 Optimum ST-04034V
ST-04044V
G-CSF
ST-04044
ST-04064
G-CSF
H4035 Optimum without EPO ST-04035
ST-04045
G-CSF
H4434 Classic ST-04434
ST-04444
ST-04464
H4534 Classic without EPO ST-04534
ST-04544
ST-04464
H4435 Enriched

ST-04435
ST-04445

IL-6,G-CSF
H4535 Enriched without EPO ST-04535
ST-04545
IL-6,G-CSF
H4436 ST-04436 IL-6,G-CSF
H4536 ST-04536 IL-6,G-CSF
H4431 ST-04431 Agar-LCM
H4531 ST-04531 Agar-LCM
H4100 ST-04100
H4236 ST-04236
H4330 ST-04330
H4230 ST-04230
H4636 ST-04636

MC=Methylcellulose、2-ME=Mercaptoethanol、Agar-LCM=Agar-Leukocyte Conditioned Medium

ヒト用「MethoCult」 データ例

CSF-GM由来 コロニー

MethoCult H4034 Optimumで培養し、CSF-GM由来のコロニーを形成した例。 

ST-04034_img02.jpg

BFU-E由来コロニー

MethoCult H4034 Optimumで培養し、BFU-E由来のコロニーを形成した例。 

ST-04034_img03.jpg

 

MethoCult 動画マニュアル

造血コロニーアッセイの手順

Procedure for Setting Up the CFU Assay

「MethoCult」の解凍方法をはじめ、培養、形成された造血幹細胞コロニーの解析までの手順を紹介しています。

Part 1: MethoCultの準備 (0:13)
Part 2: 細胞の調製 (1:31)
Part 3: 細胞とMethoCultの混和 (3:02)
Part 4: 細胞のプレーティングと培養 (3:37)
Part 5: 解析 (5:14)

プロフィシエンシーテスト - 造血コロニーアッセイ技能試験 -

CFU Assay Instructions for Global Proficiency Testing Programs

造血幹細胞コロニーアッセイの「プロフィシエンシーテスト」(技能試験)の概要です。

Part 1: キットの受取およびアッセイの準備 (0:12)
Part 2: 細胞の調製 (1:58)
Part 3: 細胞の播種 (6:21)
Part 4: コロニーの確認 (8:38)

 

造血コロニーアトラス 無償配布のご案内

メチルセルロース培地 「MethoCult」 を用いて造血幹細胞のコロニー形成細胞(CFC:Colony Forming Cell)アッセイを行う際に、コロニー判定でお困りになったことはございませんか?

弊社では、STEMCELL Technologies社のCFCアッセイ用メチルセルロース培地「MethoCult」を用いた際のコロニー判定方法を分かりやすく説明した技術資料をご用意しております。
コロニーアッセイを行う際の参考資料として是非ご活用ください。

対象: 造血コロニーアッセイを行っているまたはこれから行う方

関連情報

関連製品

記事に関するお問い合わせ